11 ページ14
「報告書は書き終わったんだ？ありがと〜、飲み物の用意くらい手伝うのに」
「任務終わりの奴らを働かせるわけないでしょ。いいから座ってなさい」
「労いってワケね…ところでお酒は」
「酒はないわよ、当然。ブラックコーヒーで我慢しなさい酒カス」
「だよね！！！」
「…この後暇なら店行ってもいいけど」
「よっしゃ〜、行く！」
「急にテンション高いな…」
騒がしくなる室内に呆れたような様子を見せながら、皆が好きだと言っていた飲み物を並べていく彼女に、微笑ましくなる。
「ん、佐伯くんの分ね」
「えっ、ありがとう！紅茶好きなの覚えててくれたの？」
「…まぁ」
「コーヒーとかもあるのに用意大変じゃなかった？手伝いに行けばよかった…」
「いいわよ。これくらい」
「ふふ、相変わらずオレらを労おうって時は徹底的に労ってくれるね？」
「…フン。毎度労われたいって言うなら、相応の態度を見せなさいという話よ」
「それ言われるとマジで何も言えなくなるな…」
「というか、私だって無茶してないなら怪我しようが怒らないわよ。大抵無茶して帰ってくるから許せないだけ」
揶揄うようなニュアンスのライ君の言葉に、彼女はそう返す。怪我を治すのは自分の仕事だから、特段気にしていない。本来怪我がない方がいいけれど、怒っているのは自分を軽んじるような行動の方、ということらしかった。
ふいっと顔を逸らす彼女に、皆微笑ましそうな表情になる。…なんというか、優しい人だな。
「っ…だーもー、ニヤニヤするなっ！」
「いやー、ごめんってw。心配してくれてありがとね？」
「フンっ。そんなことよりも！この後行く店を考えておくことね！私はまだ他の仕事があるから、自由に寛いでなさい。キッチンは好きに使っていい。お菓子もキッチンの棚にまだあるけど…食べ過ぎてお腹いっぱいになっても知らないから。じゃあねっ！」
「あーあ、怒って出ていっちゃいましたね。相変わらず優しいことで」
「最後らへん完全にオカンやったけどな」
「…なんていうか、思ってたより可愛い人…だね」
「おっ、人見知りしなくなってきたな〜？」
「Aちゃん、口調と態度が冷たく見えるだけで、世話焼きな可愛い子だからね。テツも、こっからどんどん仲良くなってこ？」
ウェン君が微笑む。…確かに。僕が当初思っていたより、彼女と仲良くなれそうかもしれない。だって、8人の好みを的確に覚えているような人なんだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
