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Aちゃんに嫌われていないとようやく気づいて、分かったことが一つある。
俺が思うほど、彼女はいつも怒っているわけじゃない。どうやら、俺が毎度無茶をするから怒っていただけらしい。
「…ん、おかえりなさい。ぱっと見は傷がほぼない、わね。言っておくけど、隠しても無駄よ。見つけられる魔術あるから」
「信用がなくてウケる〜」
「前科あるからね、誰とは言わないけど」
「ははは……」
「…うん。傷が少なくて何より。Dyticaのやつらは先に着いて、のんびりしてるから。あんたらも座ってていいわよ。私はまだ仕事があるから」
「よっしゃー、置いてある菓子とか食っていいってことだよな？」
「何のために置いてると思ってんのよ」
「はは、俺らが好きな菓子置いといてくれとるもんな」
「えっ、そうだったの？」
「テツ知らなかったの？Aちゃん、僕達の為にお菓子買って置いてくれてるんだよ〜。普段からあんまりお菓子食べたりしない子だし。ね〜？」
「…医者が間食しまくるわけないでしょ」
そうぶっきらぼうに言うと、彼女は部屋に入っていく。任務にまつわる報告書をまとめないといけないらしい。…好きなお菓子がよく置いてあるなとは思ってたけど。わざわざ僕らの好みを把握して置いておいてくれてたのか。彼女に嫌われているわけじゃないと理解して、彼女からの優しさに納得することが増えたと思う。
拠点の中で、彼女が担当した患者達のフリースペースになっている一室に入ると、彼女の言っていた通り、治療を終えたDyticaの4人が寛いでいた。
「あっ、Oriensも合同任務お疲れ〜」
「お前らも治療終わんのはやない？…となると、今日のあいつ機嫌いいんちゃう？」
「あー…俺らもほぼ怪我なかったしな」
「ということは？」
「Aちゃんを食事に誘ってもOKしてもらえる可能性が高〜い！！」
「ウェン、酒飲める可能性に気づいて元気になったなぁ」
「ほどほどにしとかないと怒られるんやけどな」
「わかってるって！」
「確かに…今日は怒られなかったというか、安堵してた気が…」
俺達の傷が少ないことに気づいて、ほっとしたような表情になった彼女の姿を思い出していると、ドアがノックされる。
そこにはトレーの上に8人分のカップとグラスを持ったAちゃんがいた。
「ん、全員いるわね。飲み物配るから、ちゃんと座って待ちなさい」
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
