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まだ彼女は泣いているだろうか、怒っているだろうか。
謝罪を受け入れてもらえるだなんて思ってはいけないけど。でも、やっぱり仲良くなりたいし、ヒーローのことが嫌いだと言うあの子が、そんな子が僕を心配して泣いてくれたことはやっぱりありがとうって言いたい。
拠点にはまだいるはず。探していると、リト君の姿を見つける。
「リト君！」
「おっ、噂をすればテツじゃん」
「もう治っとるとはいえ、走って平気なん？」
「大丈夫だよ。マナ君もここにいたんだね、ヒーラーちゃん知らない？」
「ん？ここにいるだろ」
「リトデカすぎて、見えんかったんやろ…」
「それもそうか」
リト君がそう言いながら、半歩動くととそこには目元に泣いた跡のあるヒーラーちゃんがいた。
気まずそうに目を逸す彼女に固まっていると、マナ君とリト君が俺の肩を叩いた。
「じゃ、後は二人でちゃんと話すんやで」
「俺ら先に戻ってっから」
「え、えっ！？」
「ファイト〜」
「えぇ…」
そんな薄情なとも言っていられないので、彼女を見るとこちらを見ないようにしていた。
…うん、だよね。女の子泣かせるとか本当に最低だ。最低だからこそ、ちゃんとけじめつけないと。
「ごめん、ヒーラーちゃん。隣、いいかな」
「…好きにすればいいと思う、けど。わざわざ聞かなくていい」
「そ、そっか」
返ってきたのは無愛想な声。一瞬嫌われているのではないかと言う考えがよぎる。
…でも、嫌いな人をあそこまで心配しないだろうってことくらいは、僕にもわかる。
彼女の隣に座って、口を開いた。
「…ごめん。本当にごめん。今、僕の顔なんて見たくないだろうけど、話させてほしい」
「……」
「今まで心配してくれてたって全然気づけなくて…泣かせてごめん」
「…別にいいわよ。こっちこそごめんなさい。言いすぎた」
「へっ」
泣き腫らして赤くなった目元。顔を伏せて、彼女はそう言う。
まだ怒っているとばかり思っていたけど、違うらしい。
…落ち込んでる？
「…緋八も言ってたけど、傷は大丈夫なの。ちゃんと治療はしたけど」
「え？全然痛くないよ」
「そう。…冷や冷やしたの。あなたが運ばれてきた時」
「…俺達が帰ってくる時はいつも？」
「当たり前でしょ、医者なんだから。患者の無事をいつも祈ってる。…でも、あなたはよく無茶をするから、気づいたら強い言い方になって…あなたが謝ることじゃないわ。謝るのは私の方」
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
