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孤児院で10年近く暮らし、親の遺産がある私は高校生になると共に一人暮らしを始めた
院長はもう少しいても良いよと言ったが、自分の家に帰りたかった。
ずっと空けていた我が家
遺産を潰しても残したかった家
覚えてない両親の最後
色んなものが溢れて、零れて
引越し初日はそんな気持ちに整理をつけるかのように掃除に明け暮れた
引越しの荷物は多くはないから明日にしよう。
10年前の家電はそのまま使えるだろうか。
そう思いながらその日は眠りについた。
次の日は昨日カーテンを撮った窓から差し込む光で目が覚めた
スマホを見ると午前8時
まあまあの時間である
それと同時に引越しそばを配っていないことを思い出し、朝ごはんを食べながら近くのスーパーの開店時間を調べた。
1番早いところで9時開店。
出かける支度をしてたら時間になった。
近くのスーパーに蕎麦を買いに行き、ノシをつけてもらった。
家に帰ると時間は午前11時頃、お昼前でちょうどいいのでは？と考え家を出た。
しかし今どき引越し蕎麦なんて配るのか？買ってしまったから配るしかないか、と考えながらインターホンを押して回る。
ここが最後で最高の難関
《爆豪》
ここには挨拶しなければいけないだろう。
10年間の謝罪も感謝も述べていない。
正直引越しそばどころの話ではない。
何と切り出せばいいんだろう。
この度越してきました？10年前は大変申し訳ありませんでした？それとも10年前そこに住んでました時藤です？どうしようなんて言おう
「てめェ家に何の用だ」
後ろから懐かしい声がした
記憶より低く、さらに乱暴になってるが私は間違えない
『…かっちゃん？』
そう振り向くと
「……は？」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている幼馴染がいた
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作者名：紫紅心 | 作成日時：2022年2月1日 4時
