▽さのゆき ページ9
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『晶哉、起きなよ』
「……いまなんじ」
『6時40分』
「まだねれる」
『まだねれるやなーい！起きてー！』
「んんーしらん」
『もぉ……遅れても置いてくからね』
晶哉と同じ高校に通っている私はたまに晶哉の家に泊まらせてもらうことがある。
一応実家は兵庫だけれど、今は別のアパートに一人暮らししている。
実家に行ってもいいけど少し遠いし色々大変なこともあったりして。
佐野家のみんなも来て欲しいって言ってるらしいし晶哉と過ごすのも楽しいから。
とりあえず晶哉の部屋から出て着替えてから朝ごはんを食べに行く。
「あら、まーくんは？」
『まだ起きないって言ってます』
「ほんとに朝に弱いんだから…」
「まあ、Aちゃんは食べちゃいな」
『ありがとうおばあちゃん』
晶哉おばあちゃんとおばさんにご飯をいただく。
おじさんは今日早くから仕事でもう居ないらしい。
結局晶哉が起きてきたのは私が歯磨きをしているとき。
『やっほほひたの？(やっとおきたの？)』
「んー眠いんやもん」
『もふひはんやひはやふひへへ(もう時間やし早くしてね)』
「俺10分で準備できるから」
あと5分しかないのによく言えたセリフ。
走るの嫌だから早くして欲しかったり。
とりあえず電車に間に合わせなきゃ。
歯磨きを終えたらカバンを持って玄関へ。
晶哉はドタバタしてるけど…
『晶哉ー！はやくー！』
「ちょっとまって、」
『もー、だからあれだけ言ったのに』
「ごめんな、すぐ終わらせるから」
『ん、待ってる』
「ふふ、ありがとう」
『ほんとよ？笑』
「…おかん！ハンカチどこ！」
少しニヤッとしてから準備を再開する晶哉。
なんだかんだお互い大切な存在になってる。
晶哉も高３になってから垢抜けてきて大人っぽくなってるし、ちょっと恥ずかしいけど。
「おっけ、行こか」
『ん、早歩きね』
「わ〜間に合うかな〜」
『晶哉が悪いんじゃん
私走れないからね？』
「そしたらこの俺がおんぶして行くから！」
『大きい背中なのが悔しいよ』
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作者名：しき | 作成日時：2022年11月8日 11時
