奇病専門医の日記【男主】実況者

最終日 『心傷の"元"患者』 ページ20

鬱「俺はもう、シャオちゃんの"他人"やないで。」





「…は？」

鬱「そもそもこれは俺の為でもあるんやで？
グルちゃんとAから頼まれた大切な仕事やから。
…俺はシャオちゃんの為に時間を使ってるだけじゃなく
俺の為に時間を使ってるんや。

こんだけ一緒に行動したのに、"仲間"にもなれへん？
シャオちゃんの中で俺はまだ"他人"なん？」

「…」






仲、間…？






鬱「薬探しはもちろん大事だと思う。
1人で探すのもいいかもしれない。
でも、それは俺の為にならへん。
1人よりも2人。2人よりも3人。って聞いたことない？

もう一度言うけどな。
他人やったら今まで仲良くやってたんは嘘になるん？
俺は違うで。




ちゃんとシャオちゃんを1人の
"大切な仲間"
として接してきたつもりやで。」





「ｯ！！！」







そうだ。
大先生と一緒にいて、自分を偽ることなく
今までやってこれた。
それは他人だからじゃなく、大先生を
"仲間"として接せていたから。
そもそも他人だったらニックネームで呼んだりしないし
長時間一緒にもいない。









そして、ふと思い出した。





「……………あそこだ」

鬱「へ？」

「薬はあそこにある！！！」ﾀﾞｯｯｯ

鬱「え！？ちょ、シャオちゃん！？待って！！」









.









.









「ｯはぁ、はぁ、はぁ…………」







ここだ。






そして俺は大きく息を吸い込んで
父さんと母さんと来た、"蒼色の海"に向かって叫んだ。






「ｯ俺は、1人になりたくなかった！！
一緒に笑ってたかったよ…"父さん"、"母さん"…！
気づくのが遅くなってごめんなさい！！




少しの時間でもこんな俺を愛してくれてありがとう！！


"大切"にしてくれて、ありがとう！！」









.









言い終えてから、少しだけ海水を飲んだ。
すごく辛かった。でも、体は自然と癒えていった。






鬱「シャオちゃん。」

「…大先生、俺のこと大切な仲間って思ってる？」

鬱「当たり前やで！」

「そっか………俺にとってはな？
大先生も、グルッペンも、
軍で俺の世話してくれた人も、A先生も！






みーんな"大切な仲間"や！！」



もう、体の傷はどこも痛まなかった。

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