ろく ページ7
Aが教室を出て行ったあと、村山は定位置のソファーに体を預け、天井を見上げて口を開いた。
「聞いてたんだろ。出てこいよ」
しばらくして、Aが出て行ったのとは逆の扉がガタガタと開き、気まずそうな顔をした面々が出てきた。
「…盗み聞きするつもりはなかったんすけど…」
「関が勝手に」
「はぁ！？！？」
「あーーいい。もーいいから」
ざわざわと弁明を始める不良たちを、手を振って黙らせる。
「今の話聞いただろ。もうあいつにちょっかいかけんなよ」
な、と念押しするように最初にAにノックダウンされていた生徒に首を傾げると、ブンブンと頷いた。
村山が怒ってはいないとわかった生徒たちは安心したのか口々に喋り始めた。聞く限り彼女の境遇に同情しているようだったので、鬼邪高校はAを受け入れたということでいいだろう。
「俺らみたいなヤンキーならまだしも、あんな子が喧嘩売られて強くなったって、泣ける話っすよねえ」
「周りにロクな奴がいなかったんだな…」
それはこれからも変わらないと思うんだけど。それどころかろくでもないやつと親交を深めようとしてるんだけど。村山は少し痛くなってきた頭を押さえた。この話題は泥沼だ。あの子がちょっと間違った方向にまっすぐな限り。
「そうだ、セーラー服、どうなってんだ。全日のがあるだろ」
思い出して言ってみると、古屋が「ああ」と声を上げた。
最初は、鬼邪高に遊びに来ているから制服が違うのかと思っていたが、正式に入学しているなら支給されるはずだ。定時制が男子のみだとはいえ、鬼邪高には女子の制服もある。
「そのことなんだけど、調べたら、どうもわからなくて」
「わからない？」
「A、まだ正式には鬼邪高生じゃねーんだ」
「…はあ？」
話の雲行きが怪しくなってきた。「退学だよ」としれっと言い放ったAの顔を思い出す。あの瞳は、嘘をついていないはずだ。いや、そもそも彼女は嘘をつかない。出会ってから一度もついていない。
「向こうの学校でもめてるらしい。何せよ暴力の理由が理由だから…」
ああ、と村山は頷く。大人がごちゃごちゃやっている間に、本人はすぱっと転校を決めてここに来たということだ。
「まあ近日中には結果が出るだろう」
「えー！鬼邪高に来てほしいな！」
「バカお前来るよ、だって村山さんのカノジョだぞ？」
まだちげーよ、と思いつつ、村山は眉をひそめた。面倒くさいことになりそうな予感がした。
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臣嫁(プロフ) - 私、轟くん苦手だったんですけど、この話の轟くんは可愛くて愛着湧いちゃいました（笑）更新待ってます！頑張ってください！！ (2017年3月27日 12時) (
レス) id: 784c0dafd1 (このIDを非表示/違反報告)
遠野助(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます！雰囲気寄せられるよう考えているので、そう言っていただけるとありがたいです！！ (2016年9月6日 23時) (レス) id: 4c0cbcf27c (このIDを非表示/違反報告)
遠野助(プロフ) - なおいちさん» これと、空は青〜の方にもコメントを下さり、ありがとうございます！お話、気に入ってくださってとても嬉しいです！更新遅くて申し訳ないですが、これからも頑張ります！ (2016年9月6日 23時) (レス) id: 4c0cbcf27c (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 可愛いー！なんか二人とも可愛いですね！村山さんの雰囲気の出し方がすごくうまくて、ついついにやついちゃいました☆笑 (2016年8月17日 2時) (レス) id: c991eb38ad (このIDを非表示/違反報告)
なおいち(プロフ) - 小説凄い面白くてお気に入りです。話の展開とか書き方が自分的に好きです笑更新頑張ってください!!!楽しみにしてます (2016年8月15日 12時) (レス) id: 65c1787242 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遠野助 | 作成日時：2016年8月9日 3時
