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Episode23 ページ25

松「Aちゃんはさ、喧嘩よくするの?」



『…好き好んでやる奴なんて男ぐらいだろ。』


松「それはそうかも。でもさっきの話聞いてるとそうなのかと思って。」


『やむを得ない時以外はしねぇよ。』


松「じゃあ、喧嘩売ったっていうのも何か事情があったわけだ?」



墓穴を掘った形になったようで、Aちゃんは顔をしかめた。



『……お前やだ。』



松「ははっ、ごめんごめん。無理には聞かない。」


ムスっとしたままのAちゃん。


松「まぁ、いずれは話してほしいと思う。Aちゃんのこと知りたいからね。これからは、理由があっても無茶はしないでね?怪我して欲しくないし。」




頭にポンッと手を置く。
やった後で振り払われるかなと思ったけど、Aちゃんは抵抗しなかった。







『…守り方が、わからなかった。自分の事も、人の事も。』



そう呟いて苦い顔をするAちゃんは、いつもの大人びた雰囲気と違い、幼く見えた。





松「どうすればいいかわからない時はさ、俺達に、仲間に頼って。てか、いつでも頼っていいからね。」



『………。』




松「Aちゃんが傷つかないように守るから。」




そう笑いかけると、Aちゃんは少し驚いた表情をした後、ため息をついた。





『……やっぱ変だよあんたら。』



松「良く言われるよ。」







『…ここでいい。』



そう言ってAちゃんが急に立ち止まった。



松「え?家まで送ってくよ。」


『家、ここだから。もういい。』



Aちゃんの見つめる先には、この辺りでは珍しい10階建ての高級マンション。



松「お、おぉ…すごいな…。」



『……送り、どーも。』



松「いーえ、好きでしたことだからね。じゃあまた明日。」



Aちゃんは軽く会釈をしてエントランスへ入っていった。



うん。口悪いし尖ってるけど、根はいい子だな。


よかった。これから仲良くなれそうだ。





少し頬が緩んだのを感じながら、自分の家へと歩き出した。

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作者名:かみなづき | 作成日時:2018年9月8日 3時

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