青葉城西の転校生は不良…なのか？【HQ】 (ページ1)

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prologue ページ1

桜の蕾もまだ開かない、3月中旬。

冷たい風が頬や唇をなでると、真新しい傷口が少ししみた。

いろいろあってあたしは転校することになった。

住み慣れたここを離れるための準備が終わり、あとは新天地へと向かうだけ。

今日が出発だと知っているのは、嘗ての担任や校長、見送りに来た両親だけ。

の、はずだった。

「A！！！」

自分の名前を呼ぶ方を見れば、言ってなかった筈なのに、唯一の幼馴染みがいた。

随分と急いだのか、まだ寒いこの時期に汗をかいていた。

「なんだよお前…！転校するとか聞いてねーぞ！！」

『言ってねぇからな。まぁ、妥当だろ。』

「だってお前、理由もなくそんな…！」

『理由がなかったからこうなったんだよ。』

「そんなの嘘だって俺はわかって…」

『もし理由があっても、あたしに非があっただけ。』

「でもよ…！！」

『いいんだよ、後悔なんてしてないしな。』

「……毎日連絡するからな！！ちゃんと返せよ！！」

『…うるせーな。気が向いたらな。』

そう言って淡白に別れをつげ、新幹線へ乗り込んだ。

.

『ほんと、馬鹿なやつ。』

呟きは、誰にも聞こえない。