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運動もできずに柔軟と書類整理で過ごした三日間が終わり、一週間近く乗れなかったフラッグに漸く乗れる日が来る、ハズだった。
「......フラッグに乗れると思ったのに」
「まぁまぁ、折角貴重なお誘いなんだから、ね？」
フラッグではなく民間の飛行機だった。
事の始まりは三連休を終えた次の日だった。
「AEUの新型完成披露演習、のお誘いですか。」
紙に書かれた文字を読み上げ、目の前にいる技術顧問がそうだよ、という。
「確かカタギリさんが行くような事をひと月ほど前に聞きましたが......何故今その話が私に？」
「うん、本来は僕一人で行く予定だったんだけどね。どうせなら手の空いた優秀なパイロットの意見も聞いた方が何かしら収穫があるかもしれないだろう？」
その言葉が異様に引っ掛かり、もう一度書面を見つめ直した。
披露演習は三日後だ、そして同時にまだ私はフライトが出来ない期間でもあった。
思わず口元が引きつり、まさか、と零すとそのまさかだよ、と返ってきた時はこの野郎と思ってしまうほどだった。
そして今に至る。
普通にクラスの高い飛行機で、乗り心地は申し分ない、ただただ求めている物が違うため物足りなさがある。
「フラッグの方がいいかい？」
「...フラッグに乗ってから、どうも自分で操縦しないと落ち着かないというか」
一種の病気かもしないな、と思いながらも開いている手をぐーぱーと繰り返す。
「不思議ですね。輸送機とかならそこまで無いんですが、民間になると落ち着けないです」
「そもそも飛んでるスピードが違うからね、そういったものもありそうだ」
既に空へと飛んでいる飛行機はAEUへと向かっていた。
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作者名：椎名魏 | 作成日時：2019年12月4日 21時
