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「そういえば昨日はグラハムとデートしたんだって?」


格納庫で盛大に咳き込む音が響き誰もが苦しそうな音だ、と思いながら作業をしている。


「......冗談のつもりで言ったんだけどね」


「......言葉は少し考えてほしかったです」


フライトの子休憩に立ち寄って簡素な挨拶を済ませ、飲み物を一口分喉に通した瞬間の第一声が冒頭の台詞だ。


他の女性陣の耳に入ったらただひたすらに目線が痛いっていうのに...、と言葉を飲み込み器官にはいった飲み物の違和感を打ち消す様に再度一口飲む。


昨日グラハムと出掛けてはいたが、まさかカタギリの耳に入ってたとは...いや可能性としてはなくも無いか、と自問自答する。


「まぁ、昨日はお誘いいただけたので...」


楽しかったかい?と言われ、はい、と答える。


ちょっとしたトラブルもあったが何だかんだで楽しめれた1日だった。


水族館でどんな魚がいたとか、そんな話をしてたら端末から電子音がなった。


「っと、時間になりますので自分はこれで」


「行ってらっしゃい」


カタギリはこちらを向くことなく、手をひらひらと振って送った。












じっとりとした汗を流す為にロッカールームに併設されているシャワルームへと足を運んだ。


扉を少し強めにノックすると中から、入っていいよ、と声が聞こえた。


軍事手帳をパネルにかざすと、電子音と共にガチャリと鍵が開く。


「ハティ曹長お疲れ様です」


「シリーさんお疲れ様です」


既に作業着を脱ぎ捨てて制服のネクタイを絞めていた女性が1人。


ここは女性パイロットと女性整備士の共用のロッカールーム。


だから整備士の方がいても不思議でもない。


ロッカーを開け、必要最低限の荷物を持ちシャワールームへと足を向けた。


パイロットスーツを脱ぎ簡単に折りたたみ、じっとりと汗を吸った肌着や下着を籠に放り投げる。


冷たいタイルを踏みしめて、少し熱めのシャワーをかぶる。


汗をかいて不快な気分だったが、洗い流されさっぱりとしてくると少し気分が持ち直す。


頭を洗いボディーソープを泡立たせ体を洗い、熱めのシャワーで流す。


シャワールームから出たらそれは気分がいい、ベタベタした肌は今は嘘みたいにサラサラだ。


髪の毛を乾かしアフターケアをしっかりしてから制服の着る。


時間的にもお昼で今にもお腹がなりそうだ。


今日のお昼はなんだろう、と少しだけ考え足取りを軽くした。


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作者名:椎名魏 | 作成日時:2019年12月4日 21時

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