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長時間かけて見回ったお蔭か、いつの間にか昼を過ぎており適当に小腹がすいてしまった。
ハティもお腹がすいてしまった、とぼやき館内にあった小さなカフェで軽食をとることにした。
夜は夜でちょっとしたディナーを予約してある、と言ってあったためお互いに飲み物と一皿のサンドイッチを分けて食べることにした。
「すまない、少々お手洗いに行ってくる」
「わかりました」
彼女は短く返事を返し、私は少し早足でトイレに向かった。
席を外したのは2〜3分程度だろう、たったそれだけの短い時間だというのに。
私が座っていたそこの席には見ず知らずの男性が座っており、ハティの横には別の男性が道を塞ぐように立っていた。
私からではハティの視界に映ることなく、また私もハティの表情を伺うこともできず背中でしか伺う事しかできない。
「なぁ別に人なんぞ待たずに俺らと一緒に遊ぼうよ」
「そうそう、俺らここら辺詳しいし絶対楽しめるよ?」
なんとも定番台詞なのだろう、と心底呆れる。
定員も状況を察して何とか助け船を出そうとしているが、横で立っている男性が進路を塞いでいるせいで助けずらいのだろう。
そして肝心の彼女は、どうやって穏便に切り抜けるか思案しているのだろう。
全く、と思いつつ歩みを進めほんの一歩手前で歩みを止めた。
「......失礼、君たち私の彼女に何か様かな?」
そう声をかけると二人はメンチを切る様にあぁ?と声を出す。
エーカーさん、という言葉を聞く前に男性の前に割り込みハティの手を取り席から立たせる。
「...何かされたかね?」
「大丈夫です、何も」
「おいおい困りますぜお兄さん」
言葉をかぶせるように、立っていた青年がハティの腕を掴んだ、が直ぐに振り払った。
「お姉さんさっき一緒に行くって言ったよね?ひどくない?」
目線で言ったのか?と問いかけるとハティは首を横に振った。
「しつこいな。君たち人の彼女に手を出してなんとも思わないのかい?」
「うるせぇなッ!」
罵声と共に拳が見え庇うように右腕で受け流す姿勢をとる。
ひゅっ、と短く空気を吸い、腕の中からは中尉、と小さな悲鳴のような声が耳に入る。
上手い事右に受け流しバランスを整える。
「それ以上暴力を振るう、というならこちらもそれ相当の対応をするが、私はオススメしないぞ」
これは警告だ、と念を押す。
「何をしている!」
二人の警察の声が小さなカフェに響いた。
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作者名:椎名魏 | 作成日時:2019年12月4日 21時