検索窓
今日:19 hit、昨日:12 hit、合計:14,588 hit

030 ページ31

.


「しかし水族館か。久しく行ってないな...」


紙のチケットに書かれた詳細を見ながらそう呟くと、ハティはそうですね、と呟いた。


「私も水族館は久しぶりです。高校の時に行ってそれっきりでしょうか...」


言われてみれば自分も最後に行ったのはそれぐらいか、と思い返す。


今から向かう水族館は比較的前からあったらしいが、最近改装して大分きれいになったとか、展示数が増えただとか、そんなような話を小耳にはさんだ。


近場の駅から降りて徒歩数分、全く新しい門をくぐり抜け入り口に向かう。


「ペアチケットのご利用ですね。...少々お待ちください」


おや何か間違いでもあったのだろうか、と再度半券となったチケットを見るがそれよりも早く受付の人がお待たせしました、と声をかけてきた。


「こちら期間限定のペアブレスレットですね」


「...ペア、ブレスレット......?」


差し出され受け取ったブレスレットを見ると濃い青の紐を編んだもので、ポイントとして青いイルカとハートの形をしたものが付いていた。


ハートの方は半分は青に着色されたアクリル樹脂で埋まっているが、もう半分は何も入って無かった。


ハートの左右で若干厚みが違うようで、何かがはまりそうな構造に見えた。


「...あぁ、成程。これお互いのハートを組み合わせると繋がるんですね」


ハティの方には同じようなブレスレットがあり、またハートもこちらとは真逆な構造をしていた。


「はい、こちらカップル限定の配布となっております。他にも館内でお得なサービスがありますのでどうぞお付けになって館内をご覧ください」


「...それは、楽しみにしておこう。さて行こうか」


「え、あ、はい」


戸惑いの表情を隠せれないハティは私の横にぴったりとついて歩く。


「あ、あの、どうしますか、これ」


彼女は若干うつむいてて表情は髪の毛で隠れているが、耳が若干赤くなっているのが見える。


「...付けなくとも大丈夫だろう。それと私は謝らないといけないな、貰ったチケットと言えちゃんと確認するべきだった、すまない。」


「謝らないでください。エーカーさんが悪いわけではありません」


彼女が不快な思いをしていたら、と思ったが直ぐに彼女は折角来たのでちゃんと見ましょう?と声をかけた。


そうだな、と言いお互いにブレスレットをしまい館内を見回ることにした。


031→←029



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:椎名魏 | 作成日時:2019年12月4日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。