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カタギリは先日、グラハムとのやり取りを思い出していた。


カスタム機を二機にしてほしい、と言われた時は全く君ってやつは、とつい口にしたがグラハムはやれそうならば、と付け足した。


流石に二機はきついかもしれないと分かってて言ったのだろう。


「一応聞くけど、その二機目は誰を乗せるつもりだい?」


「勿論ハティ曹長だ」


そうだろうな、という気持ちと驚きの感情が交じり合う。


横にいたレイフ・エイフマン教授は少し不服そうな表情をしていた。


「少しだけ本音を話すとするならば、彼女はパイロットとしては少し若い気がする、いや若すぎるかもしれない。...訓練校卒業して1年と数か月、実績はほぼ皆無に等しい」


初陣がガンダムとだなんて、そんな言葉を飲み込む。


「それに、優秀なフラッグファイターは他にもいるんじゃないか?」


「おぬしの事だ、既に他の隊員を要請しておるじゃろうて」


どうやらエイフマン教授も同じようなことを考えていたそうだ。


グラハムは少し考えて、薄く口を開いた


「...確かに彼女のデータ上では他のパイロットと劣るだろう」


それは事実だ、彼の瞳が真っ直ぐこちらを見た。


「だが共に空を飛ぶことで実感する。彼女は戦場で劇的に成長する、私と肩を並べるかそれ以上か。そう確信を抱いているよ私は」


だから、と彼は言葉を続ける。


「幸いにも最高の舞台がやってきたのだ、私は上官としてそれに見合う舞台を用意するべきであろう?」


勿論死ぬつもりはないし死なせるつもりはない、そう断言するように言い切った。


「...どうやら必要以上に心配する必要はないようじゃな」


エイフマン教授は安堵の表情を浮かばせて小さく笑い、一足先に帰路についた。


「...で、実際の本音は?私情も交えているだろう?」


エイフマン教授がいなくなった事を確認して、少しグラハムを小突いてみた。


すると彼は押し黙り、むうっと唇を少し突き出していた。


カタギリには嘘がつけんな、と参ったように腕を組んで嘆息を交えた。


「......空のお誘いで精一杯だ」


「...奥手にも程があるのでは?」


人の事言えないけどさ、と自分で言っておきながら少し悲しい。


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作者名:椎名魏 | 作成日時:2019年12月4日 21時

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