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「恐らくは火器にも転用されているじゃろうて」
カタギリは少し驚いた様子でレイフ・エイフマン教授、と声を上げた。
「恐ろしい男じゃ、わしらより何十年先もの技術を持っておる」
イオリア・シュヘンベルク、ソレスタルビーイングの設立者、三世紀も前の人物。
私はエーカー中尉に視線を投げかけ、フライトジャケットをひらひらと見せると少しはにかみ、頂こう、という。
「できることなら捕獲したいものじゃ、ガンダムという機体を」
「同感です。そのためにも、この機体をチューンして頂きたい」
「パイロットへの負担は?」
「無視していただいて結構。ただし期間は一週間でお願いしたい」
この上官はまた無茶を言うのか、と思えばエイフマン教授もそう思っていたようで無茶を言う男じゃ、と笑っていた。
「多少強引でなければガンダムは口説けません」
カタギリは少し呆れたように、メロメロなんです、という。
もはやガンダムが女性対象に見えてきてるのか、逆にガンダムが可哀そうに思ってしまう。
突如、グラハムの端末が鳴り出し格納庫に鳴り響く。
「私だ」
業務連絡か、と思えばグラハムの表情は一変し驚きの表情を見せた。
「...何、ガンダムが出た!?場所は?....南アフリカと...一機は南アメリカ、タリビアに?...あぁ、感謝する」
ガンダム、という単語を聞いて思わず緊張を走らせぴりっと構える。
恐らくはガンダムが武力介入を開始したのだろう。
「ハティ曹長、出撃だ。援護を頼む」
「了解」
「二人とも、止めておけ」
素早く敬礼し走って更衣室へ向かおうとし、グラハムはフライトジャケットを脱ぎ捨てるようにカタギリに預けてフラッグに乗り込もうとワイヤーを掴んだ瞬間に、エイフマン教授は制止の声を上げた。
「何故です!?一機はタリビアです。ここからなら行ける」
制止する理由がない、とグラハムを声を上げた。
「わしは麻薬などというものが心底嫌いでな。焼き払ってくれるというなら、ガンダムを支持したい」
麻薬、という単語にグラハムは眉間に皺を寄せた。
タリビアと麻薬、その単語に思い当たる節があり私は思わず声を上げる。
「タリビアは世界でも麻薬の生産多い国......もしかして、彼らは紛争の原因を断ち切る気なのですか...?!」
かつてある国は麻薬をきっかけに戦争が起こった、その二の舞いを踏ませない為に武力介入するつもりだろう、ソレスタルビーイングは。
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作者名:椎名魏 | 作成日時:2019年12月4日 21時