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すっかり窓の外は日は暮れて、既に格納庫に人の気配はほぼ無い。
ただ未だに一か所だけ、大きな扉も閉じずに明かりが灯っていた。
誰がいるかは心当たりはある、しかしまだ何かやっているのか、と思いながら手元の書類を片付けて上官の椅子に掛けてあるフライトジャケットを手に取り部屋を出た。
「おや、ハティ曹長では?」
部屋を出るとこつん、と杖が床に当たり静かな廊下に響いた。
「エイフマン教授、お疲れ様です。こちらにご用事ですか?」
敬礼で挨拶し、初老の男性、エイフマン教授はうむ、と答える。
「カタギリとエーカー中尉にな」
「こちらにお二人はまだ戻っておりません。恐らくですがまだ格納庫にいらっしゃるかと」
その言葉を聞くとエイフマン教授は少し呆れたような、又は嬉しそうな表情を浮かばせてそうか、と言って小さく笑う。
「私は今から格納庫へと向かう予定ですが、お伝えしますか?」
「いいや、私も行こう。恐らくカスタムの話になるだろうからな」
ではご一緒に行きましょう、といい格納庫の方へと足を向けた。
「確かハティ曹長もガンダムと交戦したのだったのかな」
エレベーターのボタンを押しながらはい、と答える。
「交戦した、というよりも私は牽制した程度ですので」
軽く言ってしまえば援護に近い行動で、まともに戦ったのはエーカー中尉の方だ。
「だが映像記録や他のガンダムの情報を見る限り、機体の性能は圧倒的な差があるだろう。あちらがその気になれば落ちていたかもしれない」
ポーン、とエレベーター内からアナウンスが流れ、エレベーターから降りる。
「...エーカー中尉の映像記録を見る限り、ガンダムと同レベルの出力を出す機体は今はないでしょう。中尉の機体を振り払ったときにあれだけ吹き飛んだのですから」
フラッグに乗っているから何となくわかる感覚、吹き飛ばされた時の衝撃は分からないが何となくこれぐらいの距離は飛んだのだろう、と予測が出来た。
「恐らくその出力だが、あの背面から出ている光であろう」
「あの淡い緑の光の粒子ですか。通信障害を起こしたあの...」
「あの特殊粒子はステルス性のほかに機体制御に使われている」
格納庫にたどり着くとどうも似たような話をしていたのか、中を覗くとカタギリはフラッグにつながった端末のキーボードを叩きグラハムはパイロットスーツのままでいた。
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作者名:椎名魏 | 作成日時:2019年12月4日 21時