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『はーーー、一本取られたな』
飛び去って行くフラッグ二機を横目に、蹴られた衝撃の余韻がじわじわと肌を伝う。
とっさに取った行動にしてはシミュレーションと同じ動きをしたが、思わぬ乱入に墜とすことが出来なかった。
『刹那、無事か？』
「......問題ない。機体の損傷もない」
ならよかった、と通信越しで安心したような声が聞こえた。
が、それよりも気になるのは先ほどフラッグだ。
「単独出撃......あのフラッグ何者だ？」
『......まさかな』
ぽつりと呟きを零したのを聞き、何かあるのか、と言ってみた。
『いいや、確信の無い推測さ。まぁ外れてくれればいいだけの話さ』
「...そうか」
さっさと帰ろうぜ、その言葉に短く了解、と返し粒子を散布しながら次のポイントへと向かった。
MSWAD本部
本部のビルにたどり着いて早々、大隊長からの呼び出しを受けその執務室へと足を運んでいた。
「グラハム・エーカー中尉、ハティ・ウェンガー曹長、ビリー・カタギリ技術顧問、ただいま到着いたしました」
踵を鳴らさずに同時に三人敬礼すると、執務机でペンを走らせていた大隊長は顔を上げずに、片手だけで挨拶をした。
「ご苦労だった」
ぱさり、と次の用紙が捲られる。
「AEUの新鋭機視察のはずがとんでもない事になってしまったな」
「あのような機体が存在しているとは、想像もしていませんでした」
「研究する価値があると思いますが」
グラハムが一言いえばカタギリが進言する。
上もそう思っているようだ、と大隊長がペンを置くと引き出しの中から三通の命令書を取り出した。
それぞれに手渡されると、次にはこう口を開いた。
「ガンダムを目撃したキミたち三人に、転属命令が下りた」
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作者名：椎名魏 | 作成日時：2019年12月4日 21時
