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端末からハティ曹長の戦闘記録映像を再生する。
一切迷いのない飛行に、爆風の中に飛び込みガンダムに突っ込みならが空中変形。
確かな成長に思わず笑みを零す。
「まさかもう一機ガンダムが乱入してくるとは思わなかった。ハティ曹長が来ていなければ私は海の藻屑となり果てていたかもしれない」
「次からはお声をお掛けください。お供いたします」
ハティ曹長から苦笑が零れる。
遠回しではあるが、単独行動は控えてくれ、とも言っているように聞こえるが。
「勿論だとも、フラッグファイター」
同時に嬉しくも思う、心の底から笑みを浮かばせる。
「だが記録を見る限り、あながちグラハムが言ったことは正しいかもね」
これを見てくれ、と別端末から大きなスクリーンが表示される。
私の記録映像と曹長の記録映像、ソレを別視点から見れるように瞬間的に立体映像に変換される。
「白いガンダムとは別のこの黒いガンダムから射出した粒子ビーム、映像から軌道を解析したけどいやらしいところを撃ってきていてね。グラハムが避けるであろう方向にあらかじめ撃っていた」
「あらかた避ける方向を絞られた、と言った方が正しいかもしれないな。そうすれば何処に避けるかは分かってしまう。こちらもそう得ざるおえない状況だったが...」
映像が再生され、ハティ曹長が放った弾が黒いガンダムの粒子ビームに当たりバツ印がつく。
「...ギリギリの所でハティ曹長の妨害が入り、二機は爆風でバランスを崩し曹長はガンダムに特攻、蹴りを入れて離脱......一瞬でも判断を間違えれば」
ぼんっ、どちらかがそうなっていたかもしれない、そう思うと少し背筋が凍る。
「...時にグラハム」
なんだカタギリ、と返しつつカタギリを見ると微笑んでおり指をちょいちょい、とある方向へと向けていた。
その先を見ると、うっつら、うっつらと少し猫背になり重たくなった瞼を懸命に持ち上げているハティ曹長がいた。
「無茶するのもいいけど、無茶させないようにね」
彼女、実質夜勤明けのようなものだろう?
夜通しの運転に出撃と戦闘、流石に無理をさせてしまったか、と反省する。
「......善処する」
ごち、とヘルメットと額がぶつかり、勢いよく顔を上げたハティ曹長と目が合うと、彼女は頬を紅く染めた。
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作者名:椎名魏 | 作成日時:2019年12月4日 21時