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ガンダムが現れて数時間後、ソレスタルビーイングと名乗る組織から声明が世界中に発信され、瞬く間にその声明があちこちに流れ始め、耳にタコが出来そうな時だった。
AEU演習基地から離れている最中、ジープのラジオからもまたもや声明が流され、ソレを二度か三度ほど聞いた時だろう。
グラハムが声を上げて笑い出した。
「これは傑作だな!戦争を無くすために武力を行使するとはなぁ!ソレスタルビーイング、存在自体が矛盾している...!」
何故ここまで楽しそうに話しながら言うセリフなのか少し不思議に思うが、あまり深くは考えないでいた。
やがて車は荒野に止められ、一息つくことになり車内は瞬く間にコーヒーの香りが充満する。
カタギリは車内で端末にガンダムに関する情報を入力していた。
私は後ろの座席から助手席に移動し、両手で温かいマグカップを包み込み暖をとる。
横目でグラハムを見る、恐らくガンダムについて考えているのだろうけど、黙って夜空を見ている横顔はまさに美青年と言っても過言でもない。
黙っていればイケメンなのに、そんな言葉が頭の中をよぎる。
少し火照る頬を隠す様にコーヒーに口を付けたが、思った以上に熱く少量ではあったが舌がひりひりと痛む。
「グラハム、軍に戻らなくていいのかい?今頃対応におおわらわだよ?」
端末に入力をし続けながらカタギリはそう声をかけた。
「ガンダムの性能について考えていた」
あぁうん、やっぱりそうだろうと思ったよイケメンめ。
「あの機体は特殊すぎる。戦闘能力はもとより、アレが現れるとレーダーや通信、電子装置に障害が起こった。すべてはあの光が原因だ。カタギリ、あれはなんだ?」
ルームミラー越しにそうカタギリに問うた。
「現段階では特殊な粒子としか言えないよ。おそらくあの光はフォトンの崩壊現象によるものだと思うけど...」
「特殊な粒子...」
コトリ、とマグカップを置く音が聞こた。
遠くから一台の車のヘッドライトが見え始め、それは徐々にこちらに近づいて来ていた。
端末が友軍信号を捕らえ、その車が自軍の諜報部のものであるとわかる。
「粒子だけじゃないよ。あの機体にはまだ秘密があると思うね」
「......好意を抱くよ」
その言葉に私とカタギリは、え?と零す。
興味以上の対象だという事さ、とグラハムは答えながら車から降りた。
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作者名:椎名魏 | 作成日時:2019年12月4日 21時