【イナイレ】どうか幸せに。3【佐久間次郎】 (ページ26)

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26. 知らないふり(二重の意味)佐久間視点ページ26

Aにしては可愛らしい黒のレースの……。

……見ていない。

いや”見えていない”

そう思うのが男としての役目だと思う。

自分でも何かを察しているのはAの焦ったような、恥ずかしそうな表情を見て明らかだった。

そうだ、俺が誘った手前気まずい思いをさせてはならない。

俺はできるだけいつも通りを装った。

できるだけ楽しんでほしいと思った。

しかしその後Aの表情は見えなかった。

俺が何かを問いかけてもばつが悪そうに俯いて『うん』『そうだネ』と返答するだけだ。

どうにも気まずいまま観光は終わった。

そしてその後、別れぎわのことだった。

キッと睨みつけるようにこちらを見た。

それは真帝国学園の頃のような視線だった。思わずひるんでしまいそうになる。

「佐久間……クンさァ…おれ、、私の下着――、、、」

「あ、いや、何も」

反射的に否定してしまう。

そしてそれが彼女にとって言われたくない言葉であったと直ぐに理解する。

みるみると顔が真っ赤になり、ぎりぎりと歯ぎしりをする。

「いや……その、わ、悪かったよ」

「いいし、別に、私が悪かったし、はしゃぎすぎただけ。
　事故。でも忘れろ！！！絶対に！！！」

俺が墓穴を掘ったすぐ後にそう言い放つ。

Aはぷりぷりと怒りながらつかつかと一人で歩いて行ってしまった。

俺はただただ(また転ばないといいが…他のやつに見られたら…)などと考えながら見送った。

………、他の奴らに見られたくないとか、気持ち悪いな俺。