【イナイレ】どうか幸せに。3【佐久間次郎】 (ページ24)

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24.　表情(佐久間視点) ページ24

水族館は思っていたよりも空いていた。

そういえば綱海が｢絶好の海日和だぜ！｣と言っていたことを思い出す。

やはりみんな海に行ってるのだろうか。

まぁ何にしろ空いているのはラッキーだ。

Aは入口に置いてあったパンフレットを食い入るように見ている。

わくわくしているのが目に見えて分かり、今日誘ってよかったと心底安心した。

｢すげー、色んなのがいる……早く行こうぜ！｣

「あっこら！走るんじゃない！！」

小走りで先へ行ってしまったAを急いで呼び止めて追いかけた。

色々な魚、サメ、アザラシ、カワウソ……

Aはずっときらきらと目を輝かせながら夢中になって展示を見ている。

俺も勿論楽しんでいる。

だがAがこうして楽しそうにしてくれている事の方が俺にとってはずっと嬉しかった。

『こいつら共食いしないのかな』『なんでこんな色なんだ？』

そんなちいさな子どもみたいなことを聞いてくる。

その度に一緒に調べたり考えて……。

初めて見る表情ばかりしてくれた。

不思議そうな表情、無邪気な笑顔……そしてそれを見るたびにとても嬉しくなる。

まるで自分がAの特別になれたような幻覚を見てしまいそうにもなった。