004(ドラマ3話・前) ページ10
act.4
太陽はすっかり昇り、大きな雲が魚のように悠々と澄んだ青空の中を泳いでいる。柔らかく屈折する太陽光に照らされるAの高校生活1日目は、瞬きをしている間に過ぎ去ってしまったと表現しても過言ではないほど刺激に溢れた1日となった。
一番始めに慮外を感じたことは、転入した成蘭女子高等学校。ここは聞いていた通り女の子達だけの学校だが、Aが想像していたような女の子達ばかりではなかった。丈の長いスカート、時代の波に乗っている可愛らしい髪型、彩やかな真紅に染められた唇。―――周囲に見えない垣根を張り巡らせている、スケバンと呼ばれる女の子達がいるということ。
「オイ待てゴラーッ！」
そしてふたつめ。この千葉県にはツッパリと表現される、血と血で洗う戦いを好む不良達が多いということ。
「言い方を変えれば･･･元気があっていいっていうことよね･･･？」
放課後。レースの日傘を片手に商店街を歩くAの耳に、凄みの含まれた声が流れてきた。空間が肌に馴染んで居心地よかった商店街は瞬く間に戦慄が走り、ツッパリ達が血走った眼をしながらAの横を突風のように駆け抜ける。
獣を狙うような双眼、獰猛としたような体つき。そして、
「･･･智司さん達の･･･」
喫茶店で一緒にお茶をしたあの日に見た、従兄と同じ制服。ずっと従兄とやり取りをしていた手紙には、彼がツッパリだということは一切書いていなかった。し、従兄本人から聞いた事実もない。ツッパリが多いということも耳に挟んだ記憶はない。
だが、眉の辺りに凄まじい怒りを這わせながら駆けて来る高校生は従兄―――片桐だ。背が高くガタイもいい従兄を見間違える筈がない。
ただ事ではないことが起こっている。そう感じとったAは急いで日傘を畳み、商店街から外れる細道に駆け寄った。
「誰かに追われてるのかしら･･･」
灰色の制服を纏う高校生、開久高校のツッパリ達を建物からひっそりと覗くように観察する。よく見ると、彼らの前には学ランと青いブレザーを着た高校生がふたり。ふたりはツッパリ達と同じような形相で猟犬のように走り、仕事中の大人達を一方的に巻き込んで片桐達から逃げている。
「オラァ！」
「追え！」
追われてるのではなく、彼らを追っていた片桐達は逃げるふたりの妨害に躓きそうになるものの、逃がすまいとふたりの背中を追った。
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綾波(プロフ) - ナスさん» 初めまして！すごく好きだなんてとっても嬉しい限りです…！相良君とゆっくり恋を育んでいきたいと思っておりますので、これからの展開とドキドキ感のご期待に添えられるように頑張ります！ (2020年9月2日 23時) (
レス) id: b41655ec04 (このIDを非表示/違反報告)
ナス(プロフ) - きゃ〜！お上品かつ、聡明な小説でその上ドキドキしちゃいます。すごく好きです……！これから発展していく恋愛に期待してます！応援してます。 (2020年9月1日 1時) (レス) id: 28e97fe75f (このIDを非表示/違反報告)
綾波(プロフ) - 如月さん» 初めまして！面白いと思っていただけて大変嬉しいです！これからもまだまだ更新していきますので、今後ともぜひ宜しくお願いします(*´ `*) (2020年8月27日 19時) (レス) id: b41655ec04 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - 面白くて一気見しました！ (2020年8月27日 17時) (レス) id: 9293909c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾波 | 作成日時：2020年8月14日 13時
