008-4(ドラマ5話・後) ページ33
顎を少し後ろに引き、敵意を含んだ双眸で頬に微笑を漂わせる男を見上げる。体のサイズに合っていないゆるい服装を身に纏う男は変わらず平然と構え、長い袖から腕を伸ばしてAの髪を掬った。
「今日は開久君と一緒じゃないんだね〜」
ニヒルな微笑の影が男の頬を掠める。Aは
「ええ、そうよ。私に何がご用でも？」
「冷たいなぁ。別に俺ら、危害を加えるつもりはないよ？―――Aちゃん」
「そうそう、紅野ちゃんの言う通ーり！」
紅野と呼ばれる男は払い除けられた手をわざとらしく擦り、ゆるやかにAの肩に触れて身体を抱き寄せる。車の絵のプリントが施されたシャツを着た男は紅野とは反対側き回り込み、Aが握っていた日傘を掴み上げてニタニタと笑った。
開久の不良がやられて倒れていた所を見つけたあの日から、登下校の時間を一緒に過ごしていた従兄の姿は見かけていない。
�� すまねぇ、ちょっと用事ができた ��
自宅のポストに入っていた一枚の紙切れ。ずっとやり取りしていた手紙と同じ筆跡で綴られた文字は、間違いなく従兄が書いたものだった。
平穏だった商店街付近で見かける回数が増えた灰色の制服。血眼になりながら何かを探す不良達。―――
「･･･それで？私に危害を与えないと仰るなら、一体何が目的なのかしら？」
「んー？今から俺とデートしよ？Aちゃん」
くまなく男達の行方を探っている
「いいわよ、紅野さん」
「本当？Aちゃんノリがいい〜！」
彼らに名乗った覚えはない。だが、紅野はAの名前を添えながら愉快そうに歩き出して「ゴローちゃん達はまた後でね」なんて言葉を彼らと交わしている。
不服そうに口を三角形にする、ゴローと呼ばれる男と岩田と呼ばれる男。彼らの関係性は一切見えてこないが、紅野の「邪魔したら許さないよ？」と言い切った台詞に顔を強ばらせるユタカと呼ばれる男を見れば、紅野が彼らの絶対的存在なのだと感じ取れた。
「じゃあまた後で〜」
「紅野ちゃん！今度は俺と交代だからな！」
岩田達の足音が遠ざかっていく。彼らの背中が見えなくなった頃、紅野がゴローから受け取った日傘をさした。
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綾波(プロフ) - ナスさん» 初めまして！すごく好きだなんてとっても嬉しい限りです…！相良君とゆっくり恋を育んでいきたいと思っておりますので、これからの展開とドキドキ感のご期待に添えられるように頑張ります！ (2020年9月2日 23時) (
レス) id: b41655ec04 (このIDを非表示/違反報告)
ナス(プロフ) - きゃ〜！お上品かつ、聡明な小説でその上ドキドキしちゃいます。すごく好きです……！これから発展していく恋愛に期待してます！応援してます。 (2020年9月1日 1時) (レス) id: 28e97fe75f (このIDを非表示/違反報告)
綾波(プロフ) - 如月さん» 初めまして！面白いと思っていただけて大変嬉しいです！これからもまだまだ更新していきますので、今後ともぜひ宜しくお願いします(*´ `*) (2020年8月27日 19時) (レス) id: b41655ec04 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - 面白くて一気見しました！ (2020年8月27日 17時) (レス) id: 9293909c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾波 | 作成日時：2020年8月14日 13時
