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act.2
花のにおいのする風が吹いた。４月を迎えたばかりの少し冷ややかな風、くるくると舞いながらふわりと散っていく桜の花びら。それはまぎれもない春の季節で、心のどこかで侘しさを感じてしまった。
窮屈な制服に身を包み、悠々たる足取りで商店街を歩く相良猛は、無意識に昨日の喧嘩で怪我をした唇を指で拭う。怪我をするのは日常茶判事だ。ただのかすり傷だというのに何故かこの傷だけは妙にこそばゆく、純粋な子どものような瞳をした彼女の姿が脳裏から消えることはなかった。
スケバンでもなんでもない、普通の女の子に対して抱く可笑しな気持ちに苛々が募る。こういう気分の時は大概、その辺のツッパリ達に喧嘩を吹っかけてストレス発散だ。
「･･･―――さい、！」
不意に、相良の耳に揉め事が起こっていそうな声が届いた。これはいいタイミングだ。自然と口角が吊り上がる彼は声のする方向へと足を向ける。路地裏ではなく、商店街で揉め事なんてロクな事じゃない。
一歩、また一歩と声に近づく。
「･･･あ？」
彼から気の抜けたような声が出たのは、ひらりと白いスカートが揺らめき、そのスカートから目線を上げた時だった。
「あなた達、千葉で最強ならひとり相手にそういう事はしちゃダメよ。正々堂々挑みなさい」
「･･････オメェら、何やってんだ？」
「･･･ッ！さ、相良さん･･･！」
苛々とした気持ちはどこへやら。想像を超える出来事に怒ればいいのか、それとも呆れるといいのか。何か争い事でも勃発しているのかと思ったが、声の中心にいたのは昨日出会ったばかりの女の子で、彼女の前にいる高校の後輩達は女の子に対して怯んでいるのが一目瞭然だった。
「開久の名で喧嘩すんならよォ、女ひとりにビビってんじゃねェよ」
スケバンでも番長でもない普通の女の子相手に何を怖気づいているのか。開久という高校の名前で喧嘩を始める以前の問題だ。
相良はポケットに手を突っ込んだまま女の子に近寄る。威嚇するかのように睨みつけても、彼女は透き通った瞳で彼を見上げるだけ。彼女に対して威嚇の効果はない、そう判断した彼は彼女の華奢な腕を掴もうと腕を伸ばした。―――瞬間、背中から投げかけられた声に彼の動きが止まった。
「―――A？」
ゆっくりと振り向いた先。灰色の長ランを纏い、学生靴を逞しく地面に響かせながら歩いてくる開久のNo.1が女の子を真っ直ぐに見つめていた。
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綾波(プロフ) - ナスさん» 初めまして！すごく好きだなんてとっても嬉しい限りです…！相良君とゆっくり恋を育んでいきたいと思っておりますので、これからの展開とドキドキ感のご期待に添えられるように頑張ります！ (2020年9月2日 23時) (
レス) id: b41655ec04 (このIDを非表示/違反報告)
ナス(プロフ) - きゃ〜！お上品かつ、聡明な小説でその上ドキドキしちゃいます。すごく好きです……！これから発展していく恋愛に期待してます！応援してます。 (2020年9月1日 1時) (レス) id: 28e97fe75f (このIDを非表示/違反報告)
綾波(プロフ) - 如月さん» 初めまして！面白いと思っていただけて大変嬉しいです！これからもまだまだ更新していきますので、今後ともぜひ宜しくお願いします(*´ `*) (2020年8月27日 19時) (レス) id: b41655ec04 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - 面白くて一気見しました！ (2020年8月27日 17時) (レス) id: 9293909c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾波 | 作成日時：2020年8月14日 13時
