或る歯科技工士の恋愛事情【JIN】

9・JIN ページ9

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前菜のカルパッチョを美味しそうに
秒で食べた向かいに座る飛び抜けて
違和感のある彼女


お喋りに夢中で手を付けていない
先輩達のを狙っているようだし
こちらから声を掛けてみる



「これ、食べる？

僕あまり好きじゃないんで。」


『えっ？！いいんですか？！

有り難く頂戴します！』


「美味しい？」


『はい。大好物です。』


「Aちゃん、だよね？

ノーズシャドゥって言うの？
凄く鼻が高く見えるね。」


『あ、私の方がヌナですよね？

初対面だしパンマル無しで。

私いきなりパンマル無理なんです。』


僕のカルパッチョも一瞬で食べ終え
ワインを手酌で注ぎ飲んでいる


「そうですね(笑)ヌナでした。

その洋服はいつも？」


『私の普段着です。

これで出社してお茶汲みコピー適当に
こなし５時キッカリに退勤して
クラブで踊り狂って午前様帰宅っていう
毎日を送っています。』



真面目な顔で言っていて
笑かそうとしている訳ではなさそうだ







「ワイン好きなんですか？」

『お酒大好きです。』

「仕事は楽しいですか？」

『ケミ、あ、じゃなくてソクジン君も
医大生って大変でしょう？』





上部だけの軽い話を二人でする





彼女も僕と同じく人数合わせで
来たんじゃないのかなぁ


なんて考えながら









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