＊理由 ページ23
―ひとらんらんSide―
確かに、初めて話した時から変な感じはしてた。
でも、いい子だし、気のせいかと思っていた。
いや、見て見ぬふりをしていただけなのかもしれない。
現に、今こうした状況になっているわけだから。
誰も話さず、Aの後を着ける。
そうして着いたのは一軒家。きっとAの家だろう。
『・・・どうぞ』
全-貴方「「失礼します・・・」」
Aは家の中を進んでいく。
そして、ある扉の前でぴたりと止まった。
チラッとこちらを少し見て、その扉を開けた。
ht「え、これ・・・」
思わず声が出てしまった。
そこにあったのは仏壇。女の人の写真がある。
・・・母親なのだろう。
os「これ、Aのお母さん？」
『はい。そうです』
そう言って、俯く。
悔しさや怒りの表情を浮かべて・・・。
zm「お父さんは、居ないんか」
ゾムが控えめに聞く。
『あの人は・・・今、行方不明です。・・・会いたくもありません』
Aは手を強く握った。
会いたくない理由は分からないが、確かに部屋のどこにも男の人の写真が見当たらない。
・・・Aの母親の死には、父親が関わっている？
父親を、"あの人"と言っていたし・・・。
もしそうだとしたら、Aはものすごく辛い思いをしただろう。
きっと、俺たちには想像できないほどの。
自分の親すら信じられないんだ。
俺たちを信じられなくて当然だよね。
皆が口を閉ざす。
これから俺らが聞くことは、とても辛く悲惨なものだろう。
心の準備はできている。
Aが信頼できるような友達・・・いや"親友"になる。
静かな部屋の中に、一人の声が響く。
『母は、俺のせいで死んだんです・・・』
！！！
gr「それは、何故だ？」
『俺なんかを産んだから、俺なんかに構うから、母は・・・・・っ』
rb「俺"なんか"？」
Aは、ぐっと唇を嚙み締めた。
『そうです。全部、俺のせいだから』
『俺は小さい時から嫌われてたんだ。ただ、母だけはこんな俺に優しくしてくれた。
でも、あの人は・・・父は、そんな母を気に入っていなかった。
一番俺のことを嫌っていたのは、父だから』
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過去編突入!
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作者名：モノクロ | 作者ホームページ：http://モノクロ
作成日時：2019年10月14日 18時
