29話 ページ32
Aside
そこからはお互い無言で、俊典さんに手を引かれながら仮眠室まで来た。窓から見た外はもう真っ暗だった。
終始暗い顔だった私を思案したのか、椅子に座ろうと手を離そうとした私の手をきゅ、と握り直して引っ張られる。
『ｯわ、』
ソファに座っていた俊典さんに抱きつくように倒れ込んでしまった私の背中に手を回され、一定のリズムで赤子を寝かしつけるようにトントン、と優しく叩かれる。
「言いたくなかったら言わなくてもいい」
少しくぐもった声の彼の表情を伺おうとしたが、肩口に頭を置かれ、見えなかった。見せてくれなかった。
『…俊典さん…』
私も恐る恐る背中に手を回して
『言わせて、下さい…これ以上抱えるの、しんどい…』
そういうと抱きしめる力を少し緩めてくれる。
でも、と続けて
『…貴方に、相澤先生に…、本音を言うのが、怖い…人の温かさをしって、離れるのも、怖くなってしま、って…優しさが、無くなるのが怖い…』
ぽつり、ぽつりと外で雨が降る。
それに同調するように、私の口もぽつりぽつりと昔話を始めた。
…前、両親が亡くなった話をしました、よね…
両親が、ヒーロー…だったことも。
私の両親は、似てました。
強ささえ似てなかったものの、オールマイト､に。
…緑谷くん、に。
今日、緑谷くんと爆豪くんが戦ってる時に、ふと思い出したんです。緑谷くんがオールマイトに似ているように、両親もだったな、って…
実技試験の時に麗日さんを助けた時、腕や脚が折れていたこと…それを聞いた時にも、自己犠牲が、貴方に、両親に似ていると思ったんです…
いつか、死んで、しまうんじゃないかって…
私の、両親がそうだったように…
…私の両親は、市民を、負傷したヒーローを守ろうと、奮闘して……殉職しました。
緑谷くんも、オールマイトも…、その節があったから、今日…とても怖くなりました…
亡くなって、から、彷徨ってました…
もちろん遺産もありましたけど、色々、分からなくて…子供には、知らない世界でした。知らぬ間に、親戚に全て吸い取られていました。
アパート借りたままのお金もないし、どうしようも無くて、猫の姿で、たまに人間の姿で彷徨いました。
…でも、ヒーローも、警察も、助けてくれませんでした。ずっと、彷徨って、彷徨って…
ヒーローが、嫌い…でした。
両親を殺したヒーローという職業が。助けてくれない、ヒーローが。
…でも、貴方や相澤先生と出会って、何となく、好きになれました。
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ノト(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2022年11月14日 19時) (
レス) id: 6f15257df8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ノトさん» もちのろんですぅー！！ (2022年11月14日 18時) (レス) @page39 id: f9cc241d98 (このIDを非表示/違反報告)
ノト(プロフ) - りんごさん» りんごさん、ありがとうございます！過去を振り切れた猫葉ちゃんがどう皆と接していくのか、良かったら見届けてください！ (2022年11月13日 21時) (レス) id: 6f15257df8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めっちゃ好きですー！！1aのみんなとの絡みももっと見てみたい欲がでてくる！！！ (2022年11月13日 21時) (レス) @page35 id: f9cc241d98 (このIDを非表示/違反報告)
ノト(プロフ) - ちきみさん» ちきみさん、コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！ (2022年11月12日 0時) (レス) @page20 id: 6f15257df8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノト | 作成日時：2022年11月9日 23時
