26話 ページ29
Aside
そこから私達は無言で戦った。
呻き、息遣い、肉迫戦の音、不安の、心配の匂い…
自分からの滲み出たマイナスの匂いだと思ってた。
…オールマイトは、本気で私の事を心配している。
そのせいか、彼は自分から攻撃を仕掛けることもなく、私の攻撃を捌くばかり。なんなら、核兵器に触ろうとすることもなかった。
戦うにつれ、息が上がるのは分かりきったことで、ちゃんと息が吸えなくて…心臓が痛くなって、オールマイトに縋るように、腕を掴みながらその場に座り込んだ。
『とし、のりさん…ｯ』
息が吸えなくて、ポロポロと涙が出て。
ヒーローとしての彼ではなく、八木俊典、本当の彼に助けを求めるように縋りついて泣いた。
オールマイトは目線を合わせて抱き締めてくれた。オールマイトはインカムに手を当てながら
「すまない、緑谷少年、モニターの映像とインカムの音声を…」
そういうと赤色に光っていたカメラが止まり、青色に光っていたインカムも止まった。
「…A、くん存分に泣いてくれ、私で良ければ」
念には念を押したのか、カメラに映らない死角に身を寄せたマッスルフォームを崩した彼の粋な計らいにまた涙が出てくる。
自分が、惨めに思えてくる。
その後泣き疲れて疲れて眠ってしまったのか、次に目を覚ましたのは保健室のいつも使っているベッドだった。
そこにはオールマイトの姿は無く、代わりに相澤先生が横に座っていた。
「…目ェ覚めたか」
『…はい"、あの"…』
思った以上に自分の声がガラガラ過ぎて驚いて喉元に手をやると相澤先生がフッ、と笑って
「…大丈夫か？…こういうのはオールマイトさんが適任だと思うが今の私じゃダメだとかなんとか…」
真剣な顔になりそう聞いてくる相澤先生。
どう答えていいのか分からなくて黙っていると
「まぁいい。無理に言う必要も無いからね。…腹減っただろ、食堂行くぞ」
今は何時だろうと思っても時計がなく、窓の方を見ると随分夕日も傾いていた。
『ぇ、でも…』
この時間帯は普段ランチラッシュはいない。
「…今日は居るからな。ったく、昼食堂行くならキャットフードじゃなくもっと美味いもん食え」
雑に頭を撫でる相澤先生に、ぽろ、と涙が出た。
「…泣き足りなかったか？」
少しニヤつきながら来るか？と腕を広げる相澤先生に、
少しだけ、
抱きついた。
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ノト(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2022年11月14日 19時) (
レス) id: 6f15257df8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ノトさん» もちのろんですぅー！！ (2022年11月14日 18時) (レス) @page39 id: f9cc241d98 (このIDを非表示/違反報告)
ノト(プロフ) - りんごさん» りんごさん、ありがとうございます！過去を振り切れた猫葉ちゃんがどう皆と接していくのか、良かったら見届けてください！ (2022年11月13日 21時) (レス) id: 6f15257df8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めっちゃ好きですー！！1aのみんなとの絡みももっと見てみたい欲がでてくる！！！ (2022年11月13日 21時) (レス) @page35 id: f9cc241d98 (このIDを非表示/違反報告)
ノト(プロフ) - ちきみさん» ちきみさん、コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！ (2022年11月12日 0時) (レス) @page20 id: 6f15257df8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノト | 作成日時：2022年11月9日 23時
