・ ページ37
・
ab side
胸の鼓動は高まっていくばかりで治まる気配がない。
二人の吐息が部屋の温度を上げている気がした。
「阿部ちゃん。今、俺とってもドキドキしてる。」
と照れながら言う佐久間。真っ赤な顔で可愛いこと言ってくれるなよ。ドキドキがまた加速し始める。心臓がいくつあっても足りなくなりそうだ。
「…俺もだよ？佐久間。」
「本当に？」
嘘な訳ないでしょ。と俺は思ったけど佐久間は確かめるように俺の胸に手を置く。きっと脈が早くなってることもバレバレだろう。それは少し悔しい。佐久間の前ではせめて余裕のあるフリをしていたかったから。俺もそっと佐久間の胸に触れる。そこは俺と同じくらいのドキドキと音が鳴っていて。自分だけではなかったのだと理解する。
「阿部ちゃんの胸、ドキドキいってる。」
「…佐久間もだね」
そう大して変わらないだろうが、俺の方がドキドキしていると思う。だってこんなにもベタ惚れなのだから。世界で一番佐久間のことを愛してるって自負してるからね。と考えていると佐久間が手をそっと重ねてきた。
「ん？どうした？」
と訊ねたが、佐久間はそれには応答せずにじっと俺を見つめてくる。俺はそれを見つめ返すことしか出来なかった。どのくらい色素の薄い瞳と視線がぶつかっていただろう。ゆっくりと佐久間が口を開いた。
「…俺、阿部ちゃんのことが好き」
「っ！」
さっき見ていたアニメのセリフに似せて、佐久間が言う。その言葉は佐久間の考えたものではないが、それが佐久間の本心だと分からないほど鈍感ではない。
俺もアニメのセリフに寄せて言った。
「俺も！」
勿論、自分の本心だ。
今すぐに夕日のセットとか、煌めく夜景とかは用意出来ないし、俺達の青春は終わってしまったのかもしれないけど。
君が望むなら
何度でもキスを。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
リクエストありがとうございました！！！
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
過去最高10位を記録しました。
ありがとうございます！皆様のお陰です！！
拙い文章ですが、
応援して頂けると嬉しいです。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 601人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫暮姉(プロフ) - めぐみみさん» コメントありがとうございます。新しくゆり組視点にしてみました。あべさく視点とどちらが良かったでしょうか？決着は永遠につかないと思いますよ...笑！ (2020年7月1日 23時) (
レス) id: e560777b7f (このIDを非表示/違反報告)
紫暮姉(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！可愛い理由で喧嘩するあべさくを書きたくなってしまったので、、書かせていただきました！ (2020年7月1日 23時) (レス) id: e560777b7f (このIDを非表示/違反報告)
めぐみみ(プロフ) - 誰か可愛いって？ゆり組視点のあべさくが新鮮で面白かったです。バカップル化しているあべさくが可愛くて平和でほのぼのしました。結局、決着はついたんですかね?（笑） (2020年7月1日 22時) (レス) id: 5685bea8d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - お返事ありがとうございます。はい！もちろんです！ベタベタな阿部ちゃん最高でした！ 新しいお話も拝見しました！あべさく二人が可愛いのは永遠の問題ですよねー！！！みんなが呆れてるのも含めて平和で好きです^^ (2020年7月1日 2時) (レス) id: 5ef125b1f9 (このIDを非表示/違反報告)
紫暮姉(プロフ) - めぐみみさん» コメントありがとうございます！ベタベタな阿部ちゃんを書けていましたでしょうか？自分では最後の方の佐久間くんがお気に入りなので！イケメンに書けていたなら嬉しいです！ (2020年7月1日 0時) (レス) id: e560777b7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫暮姉 | 作成日時：2020年5月9日 16時
