. ページ8
...
「っ……、」
今日は2度も屋根の上を駆け回っていたせいで疲れ切っていた体を動かし走る。
流石にもう屋根を走るのは無理で、普通に地上をだ。
何より雪のせいで滑ったりとか屋根の方が不慮の事故が多い。
空気が冷えていたのか吐く息が白い。
そんな冷たい空気に混じって鼻にくる鉄の匂い。
場所は見た限り、あの商人を入れた家だ。
村の外れにあるあの家を山の生き物＿＿熊や猪、狼が襲ったか、それとも商人が狂ってたまたま通り掛かった村人を傷付けたか。
考え得る可能性はこの2つ。
衝動的に飛び出して来たとは言え矢を数本と縄を持ってきている。
前者なら矢を刺してやるし、後者なら縛り上げる。
まぁどっちにしろ手間掛けさせやがって……。
前者なんて窓を開け放したとか言う自業自得だろ。
後者は知らん。
ザクッ、と雪を踏むような音が聞こえる。
2人分。
音からして4足じゃないし獣ではない。
思わず咳き込みたくなるような強い鉄の匂いがする。
聞こえ辛いが誰かが話している気がする。
何があっても対処できるよう矢を手に、家の影から覗く。
「うー……寒い……雪降るとか予想してない……」
「ったく、鼻が利かなくなるのは結構辛いな」
「それなぁ……」
よく見知った伸びた声に低い声。
両者とも口を抑えているのか少しくぐもって聞こえる。
2人が居るのは、真っ赤に染まった雪の上。
その奥には、あの商人が血を流して倒れている。
彼らの手からも溢れ落ちる赤がポタポタと地面を彩っていく。
「ぇ……」
反射で壁に背を付け座り込むようにして隠れ、息を止める。
たまたま見てしまっただけで俺が何かした訳でもないのに。
ただそうしなければ、と思った。
何が起きたのか。
頭では理解していても、認めたくはなかった。
信じたくなかった。
シャークんとBroooockが、狼と同じ耳を生やして血塗れで立っている。
見間違いであってほしかった。
何かの影だとか、何かと重なってるだとか。
……けれど、俺の頭は憎い事に冴えている。
それに、俺はあの2人の声を聞いている。
今見てるモノは、悪い夢だと思いたかった。
ふと気付いた時。
2人の姿は既に無く、雲も晴れていた。
...
雪が降ってきたのは実はあの商人が原因だったり……。
因みに狼耳と尻尾は任意で生えてきます。
耳は聴覚補助、尻尾はバランスを取るために。
つまり今回尻尾は要らなかったんですよ(言い訳)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時雨(プロフ) - 納豆巻きさん» ありがとうございます！まぁ私も少しやり過ぎた感はあるんですけど……。少なくともワイテルズメンバーは助かるんじゃないですかね？(すっとぼけ) (2019年8月24日 6時) (
レス) id: 44defc3b54 (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き - めっちゃ狂ってる…凄い狂人感ありますねwwとても好きです…私的には村の人達助かって欲しいなとか思うけど、やんさんがどう動くのかによって結構変わりますよね…楽しみです！ (2019年8月23日 20時) (レス) id: a850fbb456 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 納豆巻きさん» ありがとうございます！私もやん氏推しなのでやん氏を全力で贔屓していきたい所……(( (2019年8月15日 8時) (レス) id: 44defc3b54 (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き - やん推しだから、やんさん視点なの嬉しいです〜！！！応援してます！ (2019年8月14日 22時) (レス) id: a850fbb456 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：時雨 | 作成日時：2019年8月14日 21時
