恋愛屋。【青】

♡５♡ ページ6

そして、デート当日。


待ち合わせ渋谷駅前10時半。


その時間、私はというと……





『んん〜起きるのつら……』





睡魔と格闘していた。





念のためもう一度言っておくが、待ち合わせ時間で、この状態である。


まだ家にいるどころか、服装はパジャマで髪はボサボサ、もちろんメイクなど済んでいるはずもない。





こんなだから彼氏できないんだよ！と呆れる友人の顔を思い浮かべながら渋々身体を起こすと、スマホが鳴り出した。


何度目かのアラームかと思い放置してふらふらと洗面所に向かう。





顔を洗いシャコシャコと歯磨きをしながら、長いアラームだなぁと寝ぼけた頭で思う。


アラームは音大きめに鳴るよう設定しているから、少し離れたここでもはっきりと聞こえる。


けど、こんなに長いものだったっけ。もう30分も鳴り続けている。


アラームって止めなくても鳴り続けるのは、せいぜい15分くらいだったような……





理由はすぐにわかった。


アラームではなく、電話だった。着信履歴がエグいことになってる。ころん一色。





『どうしたころん』


　こ「どうしたじゃないよ！」





スマホを耳に当てると、ガサガサの大声が聞こえてきた。


その声、明らかに風邪引いてるよね？大丈夫なん。あ、地声か。





誰の声が風邪ひいてるだよ、と電話越しにキレのいいツッコミをされる。


お前だよ、と着替えながら器用に言うと、うるさいとご機嫌ななめな気配を感じた。ごめんて。





　こ「とりあえず、今何してんの？待ち合わせ時間過ぎてんだけど」


『今？今はメイクしてる』


　こ「は？まだ家？しかも罪の意識うっす！！」





ケチが作ったカルピスくらい薄いわ、とため息をつくころんに、ため息つくと老けるよと顔を塗装しながら返す。


おっし、メイク完了。





『今出る〜』


　こ「おっそ。てか僕、もうAの家の前にいるんだけど」


『は？』

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