愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ9)

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あんたのお陰　syp ページ9

A目線

口を塞ぐ。
だめ、だめだめ！止めなきゃ、止めなきゃ！！

A『はっ、それってお前が悪いじゃん。
何で人に責任転嫁して一丁前に逆ギレしてんの？生きてて恥ずかしくないの？ねえねえ。』

mob｢……は？｣

A『ぁ…』

mobちゃんの視線がグサリと刺さる。
なんで、止めなきゃって思ったのに。

mob｢お前って何？は？馬鹿にしてるよなぁ！？｣

A『どうしてそんな風に呼ばれるか、自覚ないの？可哀想だね。』
mob｢コイツ…っ！｣

頬が熱くなる。
ビンタをされたらしい。

別に慣れているから何も思わない。
え？ならどうして私が泣いているって？
また友達がいなくなるからだよ。

mob｢…っ、Aこそ一丁前にイキっといて、手出されたら泣き落とし？｣
A『……』

口がハクハクと動く。
今からでも、謝らなきゃ。

mob｢…もういいや。ごめん、私も熱くなった。保健室で頬冷やしてきなよ。もうお互いのために関係はなくそう。｣

行き場のない私の右手が空を切った。

A『…』

保健室にへと足を運ぶ。

すう、はあと息を整えて、保健室の扉を開けた。

syp｢ああ、Aか。｣
A『…あは、さーせん！また来ちゃいました～』
syp｢相変わらず直らんの？はい、ココア。秘密やで｣
A『あざー。ん、甘。…まあ、直したいんすけどねぇ』

ショッピに向かってケラケラと笑って見せる。
昔から思ったことが口に出てしまうこの性格で痛い目を見ることは多かったのに、一向に直る気配はない。

syp｢はーい、じゃあほっぺ冷やそうな。｣
A『んー、っぱ私の味方はショッピだけだわー』
syp｢せめてショッピ先生、な。｣

A『でもショッピってさ、案外私に気い許してるでしょ？
他の生徒には敬語だもんね？』

syp｢あれ、ばれてたんや。鈍感そうなのに。｣

ショッピはケタケタと笑う。

syp｢な、俺と付き合おうや｣
A『……うん』

色々あった後の弱々脳みそじゃ、特に疑問なんて感じない。

syp｢あは、ええ子。｣
A『あー、うん…』

ふわふわと意識が軽くなっていく。
重たいことなんて、考えなくても良いよって…脳みそがそう言ってる。

A『ごめんショッピ、眠いから寝るわ』
syp｢…おん、おやすみ。
Aのその性格のお陰で他の虫は寄ってこんし、勝手に傷付いて…ひひっ、上手くいきすぎて怖いくらいやわ。｣

ショッピはベッドに横たわる私の頭を優しく撫でた。