愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ7)

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A目線

A『あー楽しかったー』

一人きりの家で呟く。
また行きたいなぁ…

なんて考えていると、携帯の通知音が鳴った。

A『何…って、チーノじゃん。えっと…
｢今時間ある？トントン近くにおらんのやったら電話しよ｣…？』

別に良いけど、なんでトントンがいたらダメなんだろ。

『良いよ、今家に1人だし』

と返す。と、すぐに既読がつき、電話が掛かってくる。

A『もしもしー？何？忘れ物？』
ci｢いや…その。今日のGPSとか家見られるって話あったやん。｣
A『あー、あれね！人間違えのやつ！』

笑いながらそう言うと、チーノはやけに真剣な声で｢その…｣と話を始めた。

ci｢あれ…間違いちゃうねんな、やっぱ。エミさんとシャオロンとも確認してん。なぁ、トントンと話し合って決めてるんか？｣
A『え？ごめん、何言ってるか分かんない…かも』

ci｢あーっと…分かりやすくまとめると、今トントンはAの位置情報とか状態を握ってるってことや。
…合意の上なんか？｣

頭が真っ白になる。
え？トントンにそんなこと言われたことない。
盗撮とか、GPSとか。

A『………』
ci｢すまん、急に変なこと…｣
A『あ、ううん…あの、なんでトントンがそういうのやってるって分かったの…？』

ci｢…トントン、よく言うんよね。
Aが○○してて可愛かったとか、今は○○におるから会えへんのよなぁとか。｣

チーノの言いたいことは分かる。
それを知っているのはいいけれど、どうして今日私の前でそれを隠したのか。

と言うことなんだろう。

A『…ごめん、ありがとう。明日しっかりトントンと話すから。』
ci｢おん…ほんま、気い付けや？なんなら俺が着いてっても…｣
A『ちゃんと２人で話したいから、お気持ちだけ受け取っとくね！』

｢そうか…｣というチーノ納得のいっていないような声を最後に、電話を閉じた。

A『…トントン…』

すると、また携帯の着信音が鳴った。
何か伝え忘れたのかなぁ

A『はいもしもし！』
tn｢今から家行くから。待ってて？逃げたりするとか…嫌やで？｣
A『あ、う、うん…！』

tn｢なぁ。知らないままで良かったんやで？｣
A『え、なんのこと…？』
tn｢知らない方が幸せなこともあるって言葉…知らんのか？まさにそれやで。｣

トントンの楽しそうな声に、体がふるりと震えた。

tn｢…知らないままやったら、幸せやったんになぁ…｣

インターホンが鳴り響いた。