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sha目線

sha「…?」

花の匂いが強くする部屋の中に俺はいる。
強烈な甘い匂いなのに、悪い気はしない。

A『…しゃお。』
sha「あ、A。」
A『……今までのこと、忘れて良いよ。
もう、しゃおは乗り越えられたみたいだから』

Aの言葉の意味が分からない。
忘れて良いよ…?乗り越えられたみたい?

sha「どういうこと?」
A『しゃお、お母さんが亡くなった時に、生きる気力をなくしてたよね。知ってるよ、友達には今まで通りに接したのも、亡くなったときにも泣くのを我慢したのも。』

A『でも今は、生きる気力がある。ちゃんと、生きることが出来る。』

A『私だって、しゃおと恋人として一緒にいたい。
でも、出来ないから』
sha「なぁ、どういうことやって。」

A『私、しゃおのこと大好きだよ。しゃおに恋人が出来ても、結婚して子供が出来ても、しゃおが死んじゃって私のことを忘れても、私はしゃおのこと忘れないし、ずっと好き。』

sha「A…?」

俺の声は届いているのだろうか。
さっきから会話が噛み合わない。

A『ごめんね、ごめんなさい。
私は、貴方を励まして生かすだけのつもりだったのに。なのに、しゃおのこと好きになっちゃって。あの時、断れば良かったのに。』

A『忘れないでなんて、我が儘だけど。
しゃおには、忘れて欲しくないな』
sha「なぁ、Aっ!!」

A『…大好きだよ、愛してるよ、しゃお。ばいばい。』

そう言ってAは俺にキスをした。



sha「っうあ!……んだよ、夢かよ…」

目覚めると、布団の中。

sha「…A、」

隣を見やるが、Aがいない。
先に起きただけ、そう脳に言い聞かせるが俺の鼓動はドクドクと早くなるだけ。

sha「Aー!」

どこにもいない。
お風呂にも、リビングにも。
俺はもう1回自室に戻った。

まだ温もりがある布団。
でも、この温もりは2人分なのだろうか。

sha「何でだよ…っ」

ふと、俺の髪から何かが落ちる。

sha「…」

拾ってみると、綺麗な青薔薇のヘアピン。
ヘアピンなんて付けた覚えはない。
このヘアピン、見覚えがある。

sha「そうだ」

いつもAが付けていたヘアピンだ。
何故か机が視界に入り、机の上を見ると、Aにあげたはずの猫の人形と青い薔薇が置いてあった。

sha「……俺、生きてみるよ。そんで俺が死んだら…今度こそ一緒にいよな。」

俺は青い薔薇を手に持ち、口付けをした。
あの時の甘い匂いがした。

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作者名:塩分の闇 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/egg/  
作成日時:2024年1月25日 13時

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