愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ29)

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sha目線

今日はゲーセンに来た。
もちろん、Aと一緒に。
本当はプリクラ撮りたいんやけど、苦手だから撮る気にならんらしい。

まあ、無理強いはダメやしな。しゃーなし。

A『しゃお、多分もうちょっとみぎ！』
sha｢このへん？｣
A『うん！バッチリ！』

クレーンが、猫の人形の頭をガッシリ掴む。

sha｢…いったか…？｣

クレーンは順調に動いていたものの、途中で猫の人形が落ちる。

sha｢全っ然取れんやん！もう2000入れたで！？｣
A『んふ、こんなもんだよ～
どうする？もう行く…？』

正直迷う。
今日の軍資金は一万。五分の一をこの人形に掛けたが、状況は最初と余り変わっていない。
けど、猫好きのAにこの人形を取ってあげたい気持ちが強い。

sha｢いーや、俺はコイツを取るって決めてん！｣
A『そっかぁ、なら取っちゃお！次は取れるよ！』
sha｢おん、絶対取るで～！｣

sha｢いけいけいけ…！！｣
A『頑張れ～…！』

《ﾁｬﾗﾗﾗﾗｰﾝ♪
景品獲得おめでとう～！
ﾁｬﾗﾗｰ♪》

A『わぁー！良かったねぇ…！』
sha｢やっと取れた～！！｣

結局、この猫に4000円溶かした。
まあ、Aのためならや…安いもんやで！

A『…って、もう6時半…しゃおしゃお、なんかやり残したことある？』
sha｢いや、ないで？｣
A『じゃあ帰ろ、暗くなっちゃうよ！』

Aは明るく笑った。

sha｢…もうこんな時間やったんやなー、早いわ｣
A『楽しかった？』
sha｢もちろん、Aと一緒やったしな。｣
A『そっか、なら良かった！
あ、しゃおしゃおの家まで送るよ！』

こういうのって、俺が送るんじゃとも思ったが、Aから送ってくれると言ってくれたのが嬉しくて、俺は俺が送るとか、気の利いたことを何も言えなかった。

A『わー、ここがしゃおしゃおの家か～、てことでじゃあね、また遊ぼ！』
sha｢あ、待って！｣
A『は、はい！』

Aの手に、猫の人形を持たせる。

A『…？手触り良いね！』
sha｢……あげるわ。猫…好きやったやろ？｣
A『え、わ、悪いよ！………ほんとに良いの？』
sha｢元々Aのために取ったんやし。｣
A『～っ、すっごい嬉しい！本当にありがとう！
家に帰っても、この子のことしゃおだと思って大切にするね！』

嬉しそうにぎゅっと猫の人形を抱き締めるAに、ただただ愛おしさを感じた。