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A目線
綺麗な夜空の下を車で走る。
少し涼しいのが心地良い。
A『ねえ鬱先生、何で、ドライブデートなんて急に言い出したの？』
ut｢んーなんか…あー、ええわ。正直に言うな。
朝にAが浮かばん顔してたから、気分転換に…な？｣
そう言われて、そんなところまで見てくれているんだ…なんて思う。
ut｢なんかあったん？言ってみ？｣
A『んーと…』
何かを思い出せない、そんなことを鬱先生に相談しても、当事者じゃない鬱先生に分かるわけがない。
それに…思い出せないってことは、それまでのことなんだ。きっと。
……決して、思い出したくないわけじゃない。
A『んーん、何でも無い！』
ut｢そっかぁ…｣
鬱先生は寂しそうに目を伏せた。
この日にはゲームをして。
A『…鬱先生、6、6出して…っ！』
ut｢そおいっ！｣
【4】
紫の使用人｢これは俺達の勝ちですかねぇ？｣
橙の使用人｢いやー、ショッピ、これは勝ってまうな〜｣
紫の使用人と橙の使用人はクスクスと笑う。
それに鬱先生は｢くっそー…｣と言っているものの、3人は砕けている感じで、仲の良さが伝わってくる。
ut｢んあー、ほんまごめんなぁ…｣
A『んーん！全然大丈夫だよ！』
ut｢優しいなぁ…｣
この日はオセロ。
A『んーっと…ここで…』
紫の使用人｢ここの方が枚数取れますし、次にパスにさせられますよ｣
A『…！ここ？』
紫の使用人｢そっす。｣
ut｢おいショッピ…それは…ダメちゃうかー？？｣
紫の使用人｢何のことっすかねぇ…独り言っすよ？｣
ut｢くっ…｣
この日は映画。
《嗚呼…貴方がキラーだったのね…！》
《ああそうだ。俺に騙されたのが運の尽き。あんたはここで死ぬ》
《…そうなのね…でも…それでも私は貴方のことを愛しているわ、もちろん…心からね。》
《ぅ…やっぱり出来ねぇよーーー！！》
紫の使用人｢…ぐぅ｣
橙の使用人｢…ふわぁ〜…｣
A『…ふわぁ、ふ』
ut｢ぐすっ…ぐす｣
ああ、とても幸せ。
私は鏡を見ながらそう思う。
と、付けようと思っていた青色の宝石が付いたネックレスを落としてしまった。
カシャン、という宝石特有の綺麗な音色をトリガーに、色々な情景が浮かび上がる。
…誰かの首を絞める鬱先生と、苦しそうに藻掻く誰か。
きっと違う。鬱先生じゃない。脳内にそう言い聞かせる。
この絶望の中のドロドロな希望に縋って、依存して。
そうこう考えていたら、睡魔が襲ってきた─
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作者名：塩分の闇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/egg/
作成日時：2024年1月25日 13時
