愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ25)

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(●)絶望の中の希望に縋って　ut、？ページ25

ある曲を元にして書いてます、長いです、曲通りのエンドではないです

A目線

嗚呼、この生活の虜になってしまう。
お下がりの、それでいて、もう輝かない宝石を永久に纏って。

ut｢うん、やっぱり君に似合っとる。
君には青色が1番似合うなぁ。｣

A『…うん、ありがとう。鬱先生』
ut｢いーえ、ちゃんとお礼言えてええ子。
似合いそうやから買っただけやで。｣

青色の宝石が、鏡に映る。
私にはどうも汚れた石のように…いいや、これはきっと、とっても綺麗な宝石。

ut｢ごめんなぁ、これだけやねん。
じゃあすぐお昼ご飯になると思うから…また後でなぁ｣
A『うん！分かった…』

鬱先生が部屋を出たことを確認して、目を瞑る。

私はあの日、救われた。
でも、それよりもっと大切な何かを忘れている気がする。
甘くて優しい足枷と腐りに、思考も心も縛られている。

私はこの部屋に、いつからいるんだろう。

A『…もう、外には…』
ut｢もうお昼ご飯やって～｣

時計を見ると、さっきから15分も経っている。
少し、物思いに浸りすぎちゃったみたいだ。

A『今行くよ！』

長い机の上に並ぶ、私が好きな料理。

ut｢いただきます。｣
A『…いただきます』

全部食べなきゃ。
私は良い子だから。
例え無個性でも、良い子でいなきゃ。

…もう、食べたくないけれど…
食べるってこと(行為)、こんなに嫌だったっけ。

A『ごちそうさまでした』
ut｢おん、ごちそうさま。｣

部屋に戻ろうと思って、椅子から立つと、鬱先生が｢待って｣と声を上げた。

ut｢今日、ドライブデートでもしに行かん？｣
A『え？…うん、行きたい！』
ut｢ほんま？なら良かった。じゃあ、夜に部屋に呼びに行くから、待っててなぁ｣

紫の使用人｢…鬱様、ちなみに何処に行く予定で？｣
橙の使用人｢私達もついていきましょうか｣

ut｢ええよ、別に。ちょっと遠出するだけや。多分…2、3時間くらいで帰ってくるわ。｣
紫の使用人｢分かりました、そしたら私とチーノはお見送りとお迎えを致しますね。｣

ut｢おん、頼んだわぁ。あ、そう言えば、ロボロに赤い宝石は捨てといてって伝えといて。｣
橙の使用人｢承知致しました。｣

何故か使用人と鬱先生の会話が気になって、聞き込んでしまう。
何気なくチラリと使用人達の方を見ると、目が合った橙色のネクタイをした黒スーツの使用人がニコリと微笑んだ。