愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ24)

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愛おしいこの時間　syp、kn ページ24

兄弟、オチ迷子

A目線

眼鏡を掛けながら本を読んでいるしっまの肩を叩く。

A『しっまー』
kn｢おー？なんやー？｣
A『ちゅーしてー』

『ん！』と言って脣を突き出すと、おでこにキスの感触。

A『ちがーうー』
kn｢それで満足しぃ。｣
A『はぁい…』

しっまは私の頭を撫でると、また本を開いてしまった。

しっまのことは諦めてショッピの部屋に入る。

A『…しょぴー』
syp｢はいはい、なんすか｣
A『ちゅーしてー』
syp｢いや何でっすか。嫌っすよ普通に。頭大丈夫すか。
まず、キスなんて普通は好きでもない人としませんからね｣

と言って首を振るショッピの横に座り直して、ショッピの肩に頭を預けた。

syp｢何で急にキスなんて………って、あつ。
熱あります？｣
A『んー？分かんないけど、だるい』
syp｢はー、無理して会社行ったからですよ、もー…｣

ショッピに肩を借りて、自室まで歩く。
ショッピは口は悪いけれど、何だかんだ言って優しい。

A『んへへ～…』
syp｢うぇ、何すか｣
A『んー？ショッピって優しいなあって思って。』
syp｢はいはい。あざっす｣

いつの間にか自室についており、ベッドにがさつに投げられる。

syp｢大人しく寝といて下さいね。
おやすみなさい、Aさん｣

ほんの数秒だけ撫でてくれたショッピの手の温もりを噛みしめながら、意識を飛ばした。

肌寒さで、自然と目が覚める。
朝のような怠さと暑さはなく、思考もスッキリしている。
あ、ショッピとしっまに謝らなきゃだなぁ。

どうにも体調を崩したり酔ったりすると、人に甘えるようになるらしい。
そんなことを考えながらドアノブに手を掛けると、くるる、と小さく腹の虫が鳴いた。

A『……おなかすいた。』

ドアを開けて、下のリビングルームに向かう。
何か作って食べて、もう今日は休もう。明日も仕事だ…

syp｢起きたんすね。体調、平気ですか？
今お粥作ったんで、食べられそうだったら食べてください。｣
A『………なんか、トントンみたいだね。お粥、ありがたく頂くよ。』

syp｢もう普通のAさんなんすね。あれくらい甘えたな方が可愛いのに。まあ…コネシマさんにもああ言うことしてたら、嫌っすけど。｣
kn｢え、ショッピ君となんかあったん？｣

コトリ、と目の前に置かれたお粥が美味しそうに湯気を立てている。
今日もなんてことないこの時間に、この上ない幸せを感じるのだ。