愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ21)

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A目線

sha｢…ふーー……ごめんなあ、落ち着いた！｣
A『本当？良かったねぇ』
フードの従業員｢おー、良かったなぁ。｣

シャオロンくんはしゅばっと立ち上がり、また私の手を引いた。

sha｢色んなの乗ろーや！｣
A『うん、もちろん！いっぱい遊び尽くそうね』

そこからはたくさん遊んだ。
時間が過ぎるのも気にならないくらいに。

まず、猫耳を付けた従業員と、丸眼鏡を付けてる従業員がいたコーヒーカップで、たくさん遊んだ。

次に、顔に紙を付けている従業員がいた、メリーゴーランド。

あと、笑い声が独特な従業員がいたおばけ屋敷。

それで次は、片目隠しの従業員がいた観覧車。

最後に、本を持っていて、胸元に蝶のピンを付けている従業員がいるお土産屋。

sha｢楽しかったなぁ～｣
A『そうだね！』
sha｢最後に、もう一回だけジェットコースター乗ってもええ！？｣

シャオロンくんはキラキラした瞳で私を見つめる。
私達はまた、ジェットコースター場へと向かった。

フードの従業員｢おー、また来たんか。｣
sha｢おん！｣
フードの従業員｢んじゃ、安全バーをお下げくださーい｣

言われたとおり、安全バーを下げる。
隣にいるシャオロンくんの安全バーをちらりと見る。
しっかりと下がっている。

フードの従業員｢しゅっぱーつ｣

ガタ、ゴト、という音でジェットコースターが走り出す。
シャオロンくん、また怯えちゃうかもなぁなんて考えていると、ふと視線の横に何かが映っていることに気付く。

A『…？』

横を見ると、そこにいたのはシャオロンくんではなく、大人の男性。
意味が分からない。そう思っていると、ふと自分の目線の高さがおかしいことに気付いた。

横に座る男性｢シャオロンやで。シャーオーロン。｣
A『シャオロンくんはもっと…子供で…』

sha?｢確かにせやなぁ。だけど、俺はこっちの姿の方が歩くの速いし好きやねんな。それに、今子供なのはあんたやで、Aお姉ちゃん♪｣

何故か下ろしたはずの、私の安全バーがない。
動揺していると、シャオロンくん？が私をヒョイと抱き抱えた。

A『ゃだ…！』
sha｢じゃーな｣

ジェットコースターのてっぺんから落とされた私の視界は黒く染まった。

ピピピピピピピピ！

A『うあっ！…………え、夢…？』

気付けば見慣れた天井と、よく共に過ごした布団。
ああなんだ。夢だったのか…！
遊園地でなっていたBGMが、脳内に鳴り響いた。