愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ3)

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君と一緒に逃げ出したい　rb ページ3

rb目線

A『ねえロボロ…ちょっとだけ話聞いてくれる？』
rb｢ん？なんや急に改まって。気色悪いで？｣
A『あはは、相変わらず毒舌…』

そう言ってAはうるりと瞳を潤ませる。
ああ、コレは本当に何かあったな。

俺はそう確信した。

rb｢すまん、茶化して。で、話ってなんやの？｣
A『…っ、お母さんとお父さん…が、喧嘩してて…』

Aはずびずびと鼻を鳴らしながら話す。

rb｢おん。｣
A『私が…医者の２人の私がこんな会社に就くなんて、しかも、実家で暮らしているなんて…って』

遂にAはぽろぽろと涙まで零す。
少し前からこういう話をAからよく聞くようになった。

母親も父親も医療関連の仕事をしているため、プライドは高い壁となっていて、娘であるAにとんでもないプレッシャーを与えている話を。

A『それで…私、喧嘩嫌いだから…喧嘩しないでって言ったら、お前のせいでこうなってるのに。いらない子って言われ…て…』
rb｢あんさんはそうやって、すーぐ人から言われたこと真に受ける。｣

むにっと弾力のある頬を優しくつねる。

rb｢いらない子ちゃうやろ？現に俺と付き合っとるんやから、俺は必要としてる。それに、俺と出会うためにこの会社入った思たら、なんか運命的なの感じるやろ？なぁ？｣
A『でも…もうやだぁ…』

いつもなら引っ込む涙は、今日は引っ込まないらしい。

A『もう、死にたいよ…』

rb｢………なら、俺と逃げよ？｣

俺の言葉に、Aはキョトンとする。

A『逃げられるの…？』
rb｢おん、一緒に。会社も辞めて、めんどい家族とも縁切ろうや、いい加減。｣
A『うん…でも、どうやって逃げるの』

rb｢…一緒に死の？｣
A『……え、でも近くに死ねそうな所なんて』
rb｢旅行ついでに、ダムでも行こ。｣

そう言うと、Aはクスクスと笑う。

A『うん、行きたい。』
rb｢そしたら、明日行こ！車出すし。｣
A『あははっ、相変わらず決めたら早いね！』
rb｢それが俺のモットーやからな！適当に車飛ばして、どっかで何日か泊まって、気が済んだらダム行こか。｣

その言葉に、Aはコクリと頷いた。

rb｢ふは、震えとる。やっぱ怖い？｣
A『当たり前じゃん。もうロボロに会えないんだよ？』
rb｢来世でも会えるからそこは大丈夫やろ。｣
A『そうだね、じゃあまた来世！』

お互い、清々しい笑顔だった。