愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ20)

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A目線

sha｢な！ほごしゃ連れてきたで！｣
豚の従業員｢…ははっ、ほんまに連れてきとる…w
んじゃあ、どうぞ入ってな？｣

豚の着ぐるみを着た従業員さんは私とシャオロンくんの腕に、入場券となる腕輪を付けた。

豚の従業員｢楽しんでなぁ｣
sha｢おんっ！｣

中に入ってみると、入り口のボロさは何処へやら。
入ってみれば、某ピューロと同じくらいメルヘンで、綺麗。

sha｢どんな風に見える？｣
A『ん？…可愛いよ。メルヘンで綺麗で。シャオロンくん、何に乗りたい？』
sha｢うーん…俺な、ジェットコースター！｣
A『えっ、いきなり！？』

シャオロンくんは年相応の悪戯っ子みたいな笑みを浮かべて、私の手を引いて走り始めた。

フードの従業員｢おお、ジェットコースター乗るんやな！？
結構スリルあってええで～｣
sha｢んへー、知っとる！｣

シャオロンくんは、もしかしたらここの常連さん(？)なのかもしれない。
案内用の地図を見たり、人に聞くことなくジェットコースターの場所に行ったり、従業員と仲良く話したり。

私とシャオロンくんでジェットコースターの席に座る。

フードの従業員｢んんっ、安全バーをお下げください、安全バーをお下げください
では、しゅっぱーつ！｣

ジェットコースターが出発する。
遊園地内の何人かの従業員に手を振ってみると、手を振り返してくれる。
ジェットコースターが上り坂をのぼりきり、これから下がるという時に、シャオロンくんが私の手を握った。

sha｢……お、おちる…おちてまぅ…っ｣
A『…』

可愛らしいなぁ。
やっぱりシャオロンくんは子供なんだと実感させられる。

sha｢なぁ、ずっと離さんといてぇや…？……ぅ、うぎゃーーーーーっ！？！？｣
A『わ～～～♪』

楽しくて、あっという間にジェットコースターが終わっていた。

フードの従業員｢おかえり～！楽しかったけ？｣
sha｢はぁっ…はっ……はぁっ…｣
A『ふふ、怖かったねぇ。大丈夫大丈夫、お姉ちゃんがついてるよ。』

フードの従業員｢あー……そか。シャオロン落ち着くまで乗ってて大丈夫やで。｣
A『え、でも悪いです…！』
フードの従業員｢大丈夫やで、君以外に人なんておらんから。｣

確かに、言われてみればお客さんが１人もいない。
従業員は何人かいるのは見かけたけれど。
こんなに楽しいのに、お客さん来ないんだ…