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A目線
A『…その子の名前も顔も覚えてないんですけどね…
やけに尖った歯と、関西弁だけ頭に残ってて。』
zm「そうだったんですね…」
A『………だからきっと、私の夢見が悪いのは自業自得なんです。それに…こんな人間、死んだ方が良い。その子、不登校になっちゃって…そのまま卒業まで学校に来なくて、謝ることも出来ないままこんな歳になっちゃったんです。』
zm「…ちなみに、その子が不登校になってからのAさんの学園生活って……」
A『そうですね、お察しの通りボロボロですよ。
学祭時代の私は酷い暴君だったので、周りからの反感買いまくりで…』
そう言うと、希さんは「なるほど…」と頷いて、眼鏡を取り出した。
zm「あー、眼鏡なんて久しぶりやなぁ…」
A『眼鏡、お似合いですね!と言うか、関西弁…関西出身ですか?』
zm「あれ?分からん?」
希さんの言葉の意味が分からず、首を傾げた。
zm「くひっ、今はそのいじめられっ子、Aのこと殺したいって思ってへんよ?前は殺してやるってずっと思ってたんやけどな。」
A『?』
zm「鈍いなぁ。俺がそのいじめられっ子の緑川希やで?くひっ、よくテメェに緑川って呼び捨てされてたわぁ」
A『緑、川…』
zm「ここの頬の傷も、口元に残った傷も、ぜぇんぶAのせいや?」
全部、思い当たりがあった。
A『……ご、めんなさぃ…ごめんなさいっ…』
zm「あーあ、震えちゃって。昔の威勢はどこかなー?今のAはハムスターみたいだな、よしよし」
優しく頭に置かれた手が、無性に怖い。
そのまま、私の頭蓋骨を砕いて、私を殺すんじゃないか。
zm「俺な、お前のために関西弁を隠す練習もしたし、手頃なその辺の石で歯削ったんだぜ?
それで、前髪切って、眼鏡やめて…陽キャらしく乱暴に振る舞って…大嫌いだったこの黄緑色の気色悪い目も今となっては誇りだよ。」
zm「てか、あれ?……A、ピアス穴塞がってる?俺あれ好きだったんだけど」
耳朶を優しくなぞられ、体がピクリと反応する。
zm「俺が開けてあげようか…いいよね、これくらい」
A『……っ』
zm「怖がっちゃってかわい、昔と正反対だな、俺ら。」
希さんの黄緑色の瞳と目が合う。
長かった前髪のせいで分からなかった。
こんなに綺麗な色をしていたことなんて。
zm「じーっくり…飼い殺してやるよ」
そして、こんなにも強者らしい瞳をしていることなんて。
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作者名:塩分の闇 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/egg/
作成日時:2024年1月25日 13時