愛、哀【wrwrd】【短編集】 (ページ11)

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未確認生物、飼ってるんやけど　kn　ページ11

kn目線

女を拾った。
日本語を喋りもしなければ、言葉を理解している様子もない。

陸に打ち上げられていて、ぜぇぜぇと苦しそうに藻掻いていたこの女。
この女の顔や腕にはうっすい水色の鱗が生えていた。
人間のような２本の足はなく、代わりに魚の尾鰭が付いている。

kn｢Aー｣
A『く…きゅぅ…』

首には砂時計の様な飾りが付いたネックレスが着いていて、砂時計の飾りに、Aと彫ってあったから、名前はA。

kn｢飯やで。｣
A『ぅーー！』
kn｢しっかり噛みぃや。｣

最初は魚用の餌を買って与えてみようとしたが、どうしても食べなかったため、色々食べ物を嗅がせたら、魚に１番興味を示すことが分かったため、今は刺身を与え続けている。

kn｢……どっから来たんやろなぁ｣
A『きゅっ！』
kn｢ははっ、きゅ！じゃ分からんて。｣

Aを撫でると、気持ち良さそうに尾鰭を動かす。
それがまた愛らしくて、可愛らしくて…警察には連絡できへん。
こんな珍しいもん…何されるか分からんしな。

kn｢そんじゃ俺は部屋戻るな。｣
A『……む…ん』
kn｢喉詰まらせんようにな？｣

俺は風呂場から出た。

自分の部屋へと行くと、パソコンから｢相変わらずトイレ長いですねぇ｣と声が聞こえてくる。
今はオンライン会議中。

kn｢おー、すまんなぁ｣
ut｢や、別に良いんすけどね｣
kn｢ほんで、あー…何の話やったっけ｣

ut｢ここやね。えーっと何ページやこれ……11ペー…ジって。
コネシマさん？？｣
kn｢お？なんや？｣

大先生が画面に近付く。

ut｢…コネシマの家って今誰かおる？もしくは呼んだ？｣
kn｢や、別におらんけど。｣
ut｢肩の毛。その長い髪の毛。誰のですん？｣

kn｢…母親｣
ut｢嘘つけ。家族おらんやろ。｣
kn｢やかましいわ！！w｣
ut｢あー、ちょっと用事出来ましたわ。一旦ここで切ります～｣

そう言った大先生はリモートを切った。
長い髪の毛って…Aしかないやんな？
なんて言い訳しよう。

kn｢彼女おんねん？いやー、絶対紹介せぇなるなぁ。
外出たときに付いたんちゃう…は…次俺に髪の毛付いてんの見られたらお終いやから、後なくなるし…
見間違え…を主張すると徹底的に調べて来そうやしな｣

あ”ー、どうしたらええねん！

kn｢…………アイス、食いてえな｣

俺はほぼ部屋着の状態で、髭も剃らずに財布だけ持って外に出た。