あふれて、波打つ。 ( ytin ) 完

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約一カ月前、




初めて自分の個展というものが運営されている現場へ行った日。




もちろん個展についての構想とか、配置とか、お客さんが入る前に自分で考えることはやっているけど





実際に見に行ったのはここ３年で初めてだった





運営の人と美術館の担当の人に、テレビと雑誌の取材が少しずつ、きてるから




と言われた時はびっくりしたけど




素直に嬉しかったんだ





そこでやっとみつけた、





ずっと、会ってみたかった人。





自分の個展では感想ノート、いわゆる人数カウントのようなものがあって、欠かさず来てくれてるひとの名前はだいたい覚えてるんだけど





そこに知ってる名前があったの





”伊野尾 慧”





珍しい名前だなーって思ってたし、何より、この人が所属する大学の研究室が作り出す構想がすごく好みで





高校生のときにその大学を知った俺はそこに進もうかと思ったくらいだった






俺は大学で理工ができるほどの勉強を今までしてこなかったのを後悔して、





普通に文系の学部でカメラサークルに入ってた




カメラは高校生の時から好きで、個人で応募した高校生のナントカっていう展覧会で、いい賞、取ったことある









…だから、その細い文字の名前に妙に見覚えがあったわけです

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