【d!】メランコリック・マジック【魔法パロ】 (ページ8)

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先輩に着いていくと、ある教室に辿り着いた。入る前からふわっと木の香りがして心地良い。恐らくここが目指していた場所なのだろう、私たちの他にも先輩に連れられた1.Kたちが留まっていた。

「とうちゃーく。ここが文学教室」
『ありがとうございます！』
「うわすっごい、本めっちゃある！」

我先にと教室を覗くチーノ君が楽しそうにはしゃぐ。先輩にお礼を言うと、「Aちゃんも早く！見てみて！！」と手を振って呼んだ。

『オスマン先輩』
「ちょっと早いけど入っとき、数学教室はここの3つ左にあるから」
『ありがとうございます！』
「いえいえ」

先輩は少し小さめに手を振って教室を去って行く。
さて、私も入ろう。そう思ってチーノ君の方を振り返ると、別の寮生らしき男の子に軽くぶつかってしまった。

『あっ』
「あ、ごめん」
『こちらこそごめんなさい』

薄紫の瞳の、大人しそうな人。慌てて一歩下がり、彼の後をついていくように教室に入った。
…1人で来たんだ。すごい、迷わなかったのかな

『わ…』
「やばない！？後ろだけやけどめっちゃ本あるで…賢くなれそう」
『確かに、先生も本好きなんだろうね』
「全部読破してたりして…絶対熱中すると止まらんタイプの先生やで」

くすっと笑うとチーノ君も「そう思わへん？」と笑った。時刻は1限が始まる7分前。他にこの教室に入ってくる生徒達が自由に着席し始めたので、私たちも真ん中の窓側の席に荷物を置くことにした。

「はい、もうすぐ五分前です。着席してくださいね」

耳心地の良い声が黒板の横にある小さな扉から聞こえ、ふと目をやると先生らしき男性が沢山の本を待って黒板の方へ歩いてきていた。

眼鏡をかけていて博識そうな、とても優しそうな人だ。

「…先生っぽいな」
『…ね』

よい、しょ…と重そうな音を立てて本を教壇へ置いた先生は私たちを一瞥し、ほぼ全員が揃っているのを確認したようで「ちょっと早いけど始めるかな…」と腕時計へと視線を落とした。

「はい、皆さん優秀なので3分前ですが早めに始めて早めに終わっちゃいましょう。では皆さん、起立」

先生の合図で皆が立ち上がった。