授業初日×午前・快晴 ページ7
8:34。
驚くほど広い食堂での朝食を済ますと登校準備が始まる。初日ということもあって寮の生徒全員で集まって食事を摂ったけど、普段はどこでも誰とでもいいみたい。
「えーっと…文学、数学、芸術…」
『教科書大分多くなるね…午前と午後に分けて持っていく？』
「そーしよ！じゃあ昼に一旦ここ戻ってくるってことで」
自前のリュックに教科書や文房具などを詰め、閉じ込めるようにチャックを閉める。他の先輩方も同じように授業準備をしていて、ジャケットを羽織ったり洗濯物を干したり(家事全般は寮生で分担することになり、今日はひとらんらん先輩)、食器を片付けたり、辞書を開いてノートに書い……？
『あれ、シャオロン先輩…？』
「A、笑ったって、こいつ春期休暇中の課題まだ終わらせとらんかってんで」
「喧しいチビ！！部活が忙しいんや！！」
「誰がチビや！」
「チーノに負けてるくせになあ、3.Kやのに」
「うるっさい学年関係ない！！」
ロボロさんが開く辞書を凝視しながらガリガリと羽ペンを動かすシャオロン先輩の姿が。忙しいと言っているけど…昨日午前中は暇って言ってなかったっけ？
『昨日先輩…』
「A？ん？なんて？」
『あっなんでもないです』
「絶対忘れてたでシャオロン先輩」
「チーノォォォオオオ！！」
シャオロン先輩が指をひょいと動かすと、先輩の真っ黒の下敷きがチーノ君の額にクリーンヒットする。チーノ君は私と同時に「ひぃっ」と驚いて背中側にそのまま倒れてしまった。
『チーノ君！？』
「てめえ新参者…先輩おちょくんな？おん？」
「はぁい…」
「シャオさんもやめえや、もう30分無いで」
「シャオロン、寮長命名。あと10分で終わらせること」
振り返るとニッッッコニコのオスマン先輩の姿が。先輩が驚いて「はあ！？」と叫ぶけど、「後輩に恥ずかしい姿見せたないやろ？」とより深まった笑顔と返事を返され、撃沈した。
「さてさて、Aとチーノも準備できたら言ってな。教室案内するわ」
オスマン先輩がチーノ君に手を貸し、ようやく起き上がる。どうやら相当真っ直ぐに当てられたようで、うっすら額が赤くなっていた。先輩は「うん、手当てするほどではないし大丈夫」と彼の額を見て笑った。
「オスマン先輩、私が案内しましょうか？」
「ええよええよ、1限家庭科取ってたやろ？遠いし行っておいでや」
「わかりました」
私とチーノ君に手を振ってくたオプロイテ先輩に続き、私たちも寮を出た。
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作者名：悠木 | 作成日時：2020年11月21日 13時
