リスタート。【としみつ】

第13話 ページ13

あなたside


私たち4人は少し緊張もあったのか、
お酒がグイグイ進んだ。



そのせいか、てつやはすでにソファで寝ていた。



時計を見ると12時を回っていた。

…明日撮影あるって言ってたし…
泊まるのはちょっと失礼かな。




私はバッと立ち上がり、
「今日は帰るね」
と言った。



虫「泊まっていけばいいのに！」

「今日は帰るよ。明日も撮影でしょう？
　楽しかった〜！ありがとう」



そう言って帰る準備を始める。


と「俺、送ってこうか？」


としくんの言葉に
驚いてとしくんの方を見る。


と「ほ、ほら！こんな夜に1人なんて危ないし」


そう言ってとしくんは頭をくしゃっとする。

…あ、としくん…
高校のときから変わらない癖。
照れた時に頭をくしゃっとするの。



変わってないなあ。


虫「僕頭痛いからとしみつお願いね」


虫さんにそういわれ、
としくんは携帯と財布を持ち、
扉の前で私の準備が終わるのを待ってくれている。


私はいそいで準備をして、
2人でてつやの家を去った。



ーーーーー



本当に他愛のない話をして、
たまに笑ったり、

懐かしい気持ち。


あの頃に少し戻れたみたいで
嬉しかった。


でも…
としくんの隣にいるべきなのは
私ではない。



そして私の家の前に着く。


「今日は送ってくれてありがとう」

と「ん」


としくんはあの頃と変わらない優しい笑顔だった。


と「…また、来いよ」



としくんにそう言われると思っていなくて
驚いてとしくんの顔を見る。

としくんは私から視線を外して、
自分の頭をくしゃっとしていた、


…期待しちゃだめなのに…



「…ありがとう」





としくんの幸せを一番に考える。
だから…



友達として
少しそばにいてもいいですか？









としくんがその場を去ろうと
背中を見せた時、
私は思わず声を出す。


「としくん…っ」


としくんはこちらを振り返る。


「私と別れてからも
　元気だった？
　…幸せだった？」

意地悪な質問だったかもしれない。



でもー…



“幸せだったよ。”
その言葉が
聞きたかった。



私の選択は間違っていなかったんだ、と証明したかった。





としくんは片方の口角を上げて、
困ったように笑う。



と「…じゃあね」





としくんの背中は暗闇へと消えていった。

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