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「12時までには帰ってくるんだよ、シンデレラ。」
『……』
「きゃ〜!このセリフ、1回言ってみたかったんだよねぇ〜。」
ソヌオッパにドレスを着せてもらって、鏡の前で1周回ってみる。
控えめに広がるドレスの裾はお上品で、でも肩のあたりがふんわりと広がったデザインは可愛らしい。
ソヌオッパはシンデレラに出てくる魔女みたいに、確かに可愛く仕上げてくれた。
なんだか気合いが入ってるみたいで少し恥ずかしいけど、澄ました顔をしておけばそれっぽく見えるのだからありがたい。
コンコン、と扉をノックする音がして、どうぞ、と声をかけると、スーツを着こなしたソンフニオッパが入ってきた。
片方のポケットに手を突っ込み、前髪を整えるその仕草は、黙っていれば本当にカッコイイ。
「うちの門限は21時までです。」
『うーん、かなり残念なイケメン…。』
「こんな可愛い妹を連れて行けるなんて嬉しい…けど可愛すぎて心配…。」
「ソンフン王子、何言ってるんですか。姫にぴったりの王子を見つけに行くんですよ!」
「ソヌや!まだAには早いってば!」
ソンフニオッパはパーティーなんて慣れっこだろうけど、私は数える程しか参加したことがない。
それに、参加したとしても、アッパやオッパの隣で黙ってニコニコするだけだった。
でも、16になってからはそうは行かない。
ダンスだって誘われるだろうし、挨拶だってしなきゃいけない。
うぅ、急に緊張してきた…。
「A、大丈夫だよ。オッパもついてるし、護衛としてニキも付いてきてくれるそうだから。心強いだろ?」
『ニキも…?』
さっき会った時は、そんなこと一言も言っていなかったのに。
「姫が緊張してるみたいだったから着いていきたいって、さっき騎士長に直談判したんだって!ニキや、なかなかやるよね〜」
ソヌオッパは、ニキも隅に置けないな、なんてブツブツ言っていた。
やっぱり、ニキは私の幼なじみなんだなぁ。
背は変わっても、そうやって私のちょっとした変化を読み取ってくれる。
うん、私も負けてられないや。
ダンスとか王子とか、知らないけど、まとめてかかってこい!!
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作者名:はるひ | 作成日時:2022年11月13日 21時