EN王国のお姫様 (ページ48)

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「ねぇA、今日はどこに行こうか？」

『海に行きたいけど…ソンフニオッパはOKしてくれますかね？』

「どうしてソンフニヒョンの許可がいるの？」

『だって、私…それにジェイクオッパも、王族じゃないですか。勝手に外に出たら怒られますよ、この間みたいに！』

ここはどこだろう。
お城の中のどこかみたいだけど。
ジェイクオッパと私が笑って話している。

「大丈夫だよ。僕達、王子も姫もお休み中でしょ？海に綺麗な貝殻見つけに行こう？」

そう言ってジェイクオッパは私の腕を引っ張って、そのまま城の扉を開けて外に飛び出していく。
次の瞬間には、太陽の光でキラキラと輝く青い海。
そこにはさっきまで居なかったはずのニキが、私に水を掛けてきて。
砂浜の方からヒスンオッパとソンフニオッパが私たちに手を振っていて、ジェイクオッパは私の横で笑っている。
幸せな、何でもない日常。

「A…A、起きて…お願いだよ…」

遠くで、私を呼ぶ声がする。
ずっと、ずっとここに居たいのに。

『今のは……夢…？』

私今、どんな夢を見てたんだっけ。
なかなか開かない目を擦って、時計を見ようと起き上がった。

『な、オッパ──んむっ！？』

「しーっ！ごめんね、大きい声出さないで…」

窓のカーテンがゆらゆらと揺れる。
月明かりに照らされて、うっすらと見えるその人が、私の口を抑えつけた。

その人は、私が、今1番会いたかった人。

「静かにしててね…？」

『っぷは！ジェイクオッパ…なんでここに…』

「……君に、言わないといけないことがある。」

真剣な眼差しに、目が離せなくなる。
王子って勝手に部屋に入る人ばっかりなんですか、とか、窓からしか出入りできないんですか、とか。
冗談めかして言いたかったことを、唾と一緒にごくりと飲み込んだ。
私の肩を力強く掴むオッパの手が少し痛い。

「──明日、日が沈むと同時に、レイラ王国はEN王国に奇襲を仕掛ける。」

『───え』

「A、君は今すぐここを出るんだ。…戦争が始まる前に。」

『せ、んそう…？』

嘘だよ、そんなの。
だってEN王国はずっと平和だもの。
ソンフニオッパの件だって、ジェイクオッパは失敗だったって言ってたもん。
それってつまり、戦争は起こせなかったんでしょ？

「レイラ王国は今、危機的な食糧難に陥っている。この危機を乗り切るために、父はEN王国に目をつけた。EN王国を植民地化して、莫大かつ良質な土地を手に入れるつもりだ。」