EN王国のお姫様 (ページ46)

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「A、Aってば。」

『へ…？何、ニキ。』

「何じゃないでしょ。せっかくソンフニヒョンの許可がおりて出かけられたのに、上の空すぎ。あれからもう1週間経ってるけど？」

おでかけといっても、お城の近くにある王室御用達のレストラン。
とはいえ、私は生まれてから数えるほどしか来たことないんだけど。
オッパ達となら少し外に出られることもあったけど、だんだん忙しくなって一緒に出かけられることもなくなったし、私1人では護衛を付けたとしても許可が降りなくなった。

ただ、ソンフニオッパも最近ちょっと妹離れ(？)ができているみたいで、なんやかんやマウム王国への旅行も許可してくれたし(一緒に行ったけど)、今日だって、ニキと2人で外に出ることを許してくれた。

『あー…ごめん。何の話してたんだっけ？』

ジェイクオッパが、ソンフニオッパの件に絡んでいて、国に戻ってしまったあの日が、昨日のことのように感じる。
あの後私たちがヒスンオッパに報告すると、ただ一言、そっか、とだけ言ったオッパ。
ソンフニオッパも、ジェイクのことだから何か理由はあると思うけど、現状理由は分からないと言っていた。

モヤモヤとした気持ちのまま過ごした1週間。
そんな私を見かねて、ニキがこうやって約束通り私を連れ出してくれたと言うわけだ。

「だから、今度大会があるんだってば。騎士団の中で、剣術を競い合うっていう。それで、俺が優勝したらご褒美が欲しいんだけど。」

『ニキが優勝？大会には上の階級の人も出るんでしょ？』

「勝てないと思ってるんだ？」

『そうは言ってないけど…』

ニキはまだ騎士団に入って1年ほどしか経ってないわけで。
私はニキがどれ程の腕前なのかは知らないけど、かなり厳しいんじゃないかと予想する。

「じゃあ、ご褒美は何だっていいよね？だって、優勝できないはずなんだし、俺。」

『何でも…って、何が欲しいの？』

「それは優勝してからのお楽しみってことで。」

ニキはいたずらっ子な笑みを浮かべている。
こういう時のニキは本当に絶好調って感じだ。

「…本当なら、この大会にジェイクヒョンも参加する予定だったんだけどな。」

『そうなの…？』

「どうしても出たいって言うから、王子なのに。騎士長、めちゃくちゃ困ってた。」

そうなったら、どんなに楽しかっただろう。
想像して、ちくりと胸が痛む。

──ねぇ、オッパ。今、オッパはどうしてるんですか？